兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2022年5月25日(2006号) ピックアップニュース

第99回評議員会
参院選で医療費の拡充実現を

2006_12.jpg

コロナ対策拡充などを求める決議案を拍手で採択

 参議院選挙で社会保障の充実を実現させよう--。協会は5月15日、第99回評議員会を開催。評議員ら99人が参加し、2021年度会務報告と2022年度の重点課題を承認、決議を採択した。特別講演では、東北大学東北アジア研究センター・同大学院環境科学研究科教授の明日香壽川先生が「グリーン・ニューディール~環境投資が世界を変える~」と題して講演した(次号に評議員会詳報を掲載予定)。

 開会あいさつで西山裕康理事長は、新型コロナウイルス感染症による病床ひっ迫は小康状態だが、平時の医療とコロナ対応の両立が課題であり、医療費は依然としてコロナ前の水準には届かず、受診抑制が続いているとした。診療報酬改定率についてはマイナス0.94%と、コロナ感染症と闘う医療機関に対して冷たい改定だったとし、政府が主張する分配の強化とは言行不一致だと指摘。リフィル処方の導入やオンライン診療拡大等に加え、「地域医療構想の実現」「医師の働き方改革」「医師偏在対策の推進」の三位一体改革の名の下で、医療費抑制と医療制度改悪が狙われているとした。
 そして医療は社会的共通資本であり、採算性追求を抜本的に見直し、安定した医療機関経営が可能となるような施策が必要だとし、参院選へ向けて幅広い国会議員への働き掛けを強めたいとした。
 武村義人副理事長が本年度の会務報告と次年度の重点課題について報告。会務報告では、「菅政権のコロナ対応に批判が集まり退陣に追い込まれたが、岸田首相の下でも露骨な大企業優遇と軍事費拡大は続いている」と情勢を報告した。後半期の重点課題としては、「『頼りになり役立つ協会』となるよう努め、政府の患者負担増計画に反対し、医療費の総枠拡大、社会保障拡充、憲法と平和を守る運動などを、広範な国民・団体と共同して進めることに全力を尽くす」とした。
 討論では「75歳以上窓口負担2倍化反対を求める署名の協力会員2割達成」や「保険でより良い歯科医療を求める運動への協力呼びかけ」など医療・社会保障改善を求める発言や、「反核医師・医学者のつどいを成功させよう」「アスベスト学校調査等について」など反核運動・公害対策を求める発言、各支部での多彩な活動の紹介、会員拡大への協力のお願いなど、当日発言も含めて18人から発言があった。
 最後に、コロナ禍による医療機関の減収への補填、医療費抑制政策の転換と公衆衛生体制の強化、患者・介護利用者負担増計画の中止などを盛り込んだ決議を採択した。
特別講演
〝環境投資〟が世界を変える
明日香壽川氏が講演
2006_13.jpg

グリーン・ニューディールについて解説する明日香氏

 特別講演で明日香壽川氏は、グリーン・ニューディール政策について、「未来のためのエネルギー転換研究グループ」が作成した「レポート2030」をもとに、再生可能エネルギーの拡大などにより新たな雇用創出や経済成長を実現するものだと説明。試算では、クリーンエネルギー拡大による雇用創出効果は、化石燃料産業や原子力産業を大きく上回っていると紹介した。現在の化石燃料や原子力に依存した日本のエネルギー政策では、資源国に国富を流出させているが、再生可能エネルギーを拡大すると、国内経済の好循環を生み出し、毎年20兆円程度の経済効果が見込めるとした。そして再生可能エネルギーはすでに低コストであり、投資を進めれば2050年にはCO2排出を93%以上削減することができ、新規技術開発と合わせCO2排出ゼロは実現可能だと結論付けた。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方