2022年6月05日(2007号) ピックアップニュース
特集 2022年 参議院選挙
2022年参議院選挙にあたっての 保険医の重点要求(案) 2022年5月 兵庫県保険医協会
6月22日公示、7月10日投票の日程で行われるとされる参議院選挙に向けて、政策部でとりまとめた「2022年参議院選挙にあたっての保険医の重点要求(案)」を発表する。
今次参議院選挙にあたり、私たち保険医はこれまでの医療・社会保障費抑制政策を転換することを強く求める。
新型コロナ禍で医療崩壊とも言われる状況が露呈したのは、この間の医療費抑制政策の下で行われてきた度重なる診療報酬のマイナス改定、医師養成数抑制、公立・公的病院の統廃合と病床削減、保健所の統廃合に象徴される公衆衛生行政の切り捨てによるものである。にもかかわらず、自公政権は新型コロナ禍の下でも、受診抑制による医業収入の減少や感染対策等医業費用の増加で苦しむ医療機関への補償は怠り、4月の診療報酬もマイナス改定を強行した。さらに、病院の統廃合への消費税財源投入、介護保険における補足給付の給付要件厳格化などを進め、10月からは75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担の2割化を実施しようとしている。政府には直ちにこうした医療費抑制政策を改めることを強く求める。
政府が労働規制緩和、法人税減税と消費税増税等、新自由主義的政策を推し進めてきたことにより、格差・貧困が拡大しつづけている。ここにコロナ禍による景気の低迷、ウクライナ危機による物価高が重なり、国民の困窮は深刻を極めているにも関わらず、岸田自公政権は年金の引き下げを強行した。私たちは、負担能力のある大企業・富裕層に応分の負担を求め、医療・社会保障を充実させれば、国民皆が豊かになる経済発展が可能だと考えている。
ロシアのウクライナ侵攻は国際法と国連憲章に違反するもので、決して許すことができない。このロシアの行動は、集団的自衛権が常に戦争の理由とされること、核抑止力論が机上の空論で実際には核兵器は核保有国の侵略の道具でしかないことを明らかにしたが、国内では一部の政治家らがこの危機を奇貨として、日本の核武装や核共有、憲法9条の改定、防衛予算の大幅増額を訴えている。このような日本のさらなる軍事大国化は、東アジアの軍拡競争に拍車をかけ、地域や世界をさらに不安定にする。
私たちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、日本のさらなる軍事大国化を許さず、社会保障の充実で持続可能な経済社会をつくることを求める。
(1)新興感染症へ対応できるよう医療費抑制政策を抜本的に改め、余力のある医療提供体制を整備すること。
(2)医療提供に支障をきたさないよう、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない民間医療機関も含めて、受診抑制等による減収を補填すること。
(3)医療機関等の感染防止に係る経費について十分な保障を行うこと。
2、医療・社会保障制度の改善要求
(1)地域の医療・介護ニーズを無視した病床削減は行わず、ニーズにあった医療・介護提供体制を整備すること。地域医療の砦として政策医療を提供する公立・公的病院の役割を評価し、無理な統廃合を行わないこと。
(2)医師不足を解消するとともに相次ぐ医師の過労死を防ぐため、医師、看護師などの養成数を増やすこと。
(3)10月から実施予定の75歳以上の窓口負担2倍化を中止すること。
(4)患者負担増計画を撤回し、医療費窓口負担割合を引き下げること。こどもの医療費窓口負担は国の責任で中学3年生まで無料にし、高校3年生世代まで無料をめざすこと。
(5)診療報酬本体部分を10%以上引き上げること。
(6)歯科医療危機の打開にふさわしい歯科診療報酬の大幅引き上げ、保険の利く範囲を広げること、歯科技工士・歯科衛生士の労働環境の改善、金パラ逆ザヤ解消を行うとともに代替材料の開発と保険適用を行うこと。
(7)混合診療の全面解禁や株式会社による医療機関運営など医療分野での規制緩和を行わないこと。
(8)国庫負担の引き上げで国保保険料を引き下げること。また、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。学資保険などの差し押さえを行わないこと。
(9)介護保険制度を抜本的に見直し、介護報酬を引き上げ、必要なサービスが受けられるよう認定方式を改めるとともに、保険料を応能負担に改め、利用者負担を引き下げること。
(10)年金積立金の投機的運用を止めるとともに、自動的に年金支給額を減らす「マクロ経済スライド」を廃止し、最低保障年金制度の創設をめざすこと。
(11)医療の公益性を守る事業税非課税措置と4段階税制を存続させること。
3、災害復興を求める要求
(1)東日本大震災ならびに熊本地震被災者の医療費一部負担金免除措置を、生活再建が完了するまで再実施し、全被災医療機関の再建に公的支援を行うこと。
(2)被災地復興に直接関係のない事業に復興予算を流用するのをやめ、被災者の生活再建に真に役立つ予算執行を行うこと。
(3)災害援護資金の返済免除要件をさらに緩和すること。
(4)東日本大震災被災者の災害公営住宅家賃の減免を拡大すること。熊本地震被災者のみなし仮設住宅からの「追い出し」をやめること。
4、財政構造の転換を求める要求
(1)消費税を減税し、医療機関の控除対象外消費税をゼロ税率導入により解決すること。
(2)無駄な大型公共事業や不必要な防衛予算など、税金の使い方を見直し、社会保障への公費負担を拡充すること。
(3)空前の利益を上げ、内部留保を積み増ししている大企業に、安定的雇用の拡大、賃金の引き上げを求め、社会保険料収入を確保すること。
(4)大企業や富裕層向けの優遇税制をあらため、法人税や所得税率を引き上げ、社会保障の財源を確保すること。タックスヘイブンなどにより税金逃れを行っている企業や富裕層に追徴的に課税すること。
5、環境・公害に関わる要求
(1)原発と石炭火発を将来にわたり維持・活用しようとしているエネルギー基本計画を抜本的に見直し、脱原発・脱石炭・再生可能エネルギー中心の政策に転換し、「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を実現すること。
(2)稼働中の原発を停止し、すべての原発の再稼働、新増設、輸出を止め、全原発の廃炉を決断すること。
(3)原子力規制委員会を透明かつ公正・民主的な機関として確立すること。
(4)アスベスト健康被害に関する国の責任を認め、被害実態の正確な調査・把握、十分な補償を行うこと。
(5)震災時をはじめとする建物解体に伴うアスベスト飛散を防止するため、実効性のある予防策を行うこと。
6、反核・平和と国民主権を強化・充実する要求
(1)安全保障関連法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すこと。
(2)憲法を守り、憲法どおりの国づくりをめざすこと。
(3)沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古への新基地建設を行わないこと。
(4)唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、条約に参加をしない核保有国などに批准を求めること。
(5)ロシアによるウクライナ侵攻の事態打開のため非軍事的外交努力を強めること。
以上
今次参議院選挙にあたり、私たち保険医はこれまでの医療・社会保障費抑制政策を転換することを強く求める。
新型コロナ禍で医療崩壊とも言われる状況が露呈したのは、この間の医療費抑制政策の下で行われてきた度重なる診療報酬のマイナス改定、医師養成数抑制、公立・公的病院の統廃合と病床削減、保健所の統廃合に象徴される公衆衛生行政の切り捨てによるものである。にもかかわらず、自公政権は新型コロナ禍の下でも、受診抑制による医業収入の減少や感染対策等医業費用の増加で苦しむ医療機関への補償は怠り、4月の診療報酬もマイナス改定を強行した。さらに、病院の統廃合への消費税財源投入、介護保険における補足給付の給付要件厳格化などを進め、10月からは75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担の2割化を実施しようとしている。政府には直ちにこうした医療費抑制政策を改めることを強く求める。
政府が労働規制緩和、法人税減税と消費税増税等、新自由主義的政策を推し進めてきたことにより、格差・貧困が拡大しつづけている。ここにコロナ禍による景気の低迷、ウクライナ危機による物価高が重なり、国民の困窮は深刻を極めているにも関わらず、岸田自公政権は年金の引き下げを強行した。私たちは、負担能力のある大企業・富裕層に応分の負担を求め、医療・社会保障を充実させれば、国民皆が豊かになる経済発展が可能だと考えている。
ロシアのウクライナ侵攻は国際法と国連憲章に違反するもので、決して許すことができない。このロシアの行動は、集団的自衛権が常に戦争の理由とされること、核抑止力論が机上の空論で実際には核兵器は核保有国の侵略の道具でしかないことを明らかにしたが、国内では一部の政治家らがこの危機を奇貨として、日本の核武装や核共有、憲法9条の改定、防衛予算の大幅増額を訴えている。このような日本のさらなる軍事大国化は、東アジアの軍拡競争に拍車をかけ、地域や世界をさらに不安定にする。
私たちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、日本のさらなる軍事大国化を許さず、社会保障の充実で持続可能な経済社会をつくることを求める。
個別要求
1、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症への対応(1)新興感染症へ対応できるよう医療費抑制政策を抜本的に改め、余力のある医療提供体制を整備すること。
(2)医療提供に支障をきたさないよう、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない民間医療機関も含めて、受診抑制等による減収を補填すること。
(3)医療機関等の感染防止に係る経費について十分な保障を行うこと。
2、医療・社会保障制度の改善要求
(1)地域の医療・介護ニーズを無視した病床削減は行わず、ニーズにあった医療・介護提供体制を整備すること。地域医療の砦として政策医療を提供する公立・公的病院の役割を評価し、無理な統廃合を行わないこと。
(2)医師不足を解消するとともに相次ぐ医師の過労死を防ぐため、医師、看護師などの養成数を増やすこと。
(3)10月から実施予定の75歳以上の窓口負担2倍化を中止すること。
(4)患者負担増計画を撤回し、医療費窓口負担割合を引き下げること。こどもの医療費窓口負担は国の責任で中学3年生まで無料にし、高校3年生世代まで無料をめざすこと。
(5)診療報酬本体部分を10%以上引き上げること。
(6)歯科医療危機の打開にふさわしい歯科診療報酬の大幅引き上げ、保険の利く範囲を広げること、歯科技工士・歯科衛生士の労働環境の改善、金パラ逆ザヤ解消を行うとともに代替材料の開発と保険適用を行うこと。
(7)混合診療の全面解禁や株式会社による医療機関運営など医療分野での規制緩和を行わないこと。
(8)国庫負担の引き上げで国保保険料を引き下げること。また、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。学資保険などの差し押さえを行わないこと。
(9)介護保険制度を抜本的に見直し、介護報酬を引き上げ、必要なサービスが受けられるよう認定方式を改めるとともに、保険料を応能負担に改め、利用者負担を引き下げること。
(10)年金積立金の投機的運用を止めるとともに、自動的に年金支給額を減らす「マクロ経済スライド」を廃止し、最低保障年金制度の創設をめざすこと。
(11)医療の公益性を守る事業税非課税措置と4段階税制を存続させること。
3、災害復興を求める要求
(1)東日本大震災ならびに熊本地震被災者の医療費一部負担金免除措置を、生活再建が完了するまで再実施し、全被災医療機関の再建に公的支援を行うこと。
(2)被災地復興に直接関係のない事業に復興予算を流用するのをやめ、被災者の生活再建に真に役立つ予算執行を行うこと。
(3)災害援護資金の返済免除要件をさらに緩和すること。
(4)東日本大震災被災者の災害公営住宅家賃の減免を拡大すること。熊本地震被災者のみなし仮設住宅からの「追い出し」をやめること。
4、財政構造の転換を求める要求
(1)消費税を減税し、医療機関の控除対象外消費税をゼロ税率導入により解決すること。
(2)無駄な大型公共事業や不必要な防衛予算など、税金の使い方を見直し、社会保障への公費負担を拡充すること。
(3)空前の利益を上げ、内部留保を積み増ししている大企業に、安定的雇用の拡大、賃金の引き上げを求め、社会保険料収入を確保すること。
(4)大企業や富裕層向けの優遇税制をあらため、法人税や所得税率を引き上げ、社会保障の財源を確保すること。タックスヘイブンなどにより税金逃れを行っている企業や富裕層に追徴的に課税すること。
5、環境・公害に関わる要求
(1)原発と石炭火発を将来にわたり維持・活用しようとしているエネルギー基本計画を抜本的に見直し、脱原発・脱石炭・再生可能エネルギー中心の政策に転換し、「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を実現すること。
(2)稼働中の原発を停止し、すべての原発の再稼働、新増設、輸出を止め、全原発の廃炉を決断すること。
(3)原子力規制委員会を透明かつ公正・民主的な機関として確立すること。
(4)アスベスト健康被害に関する国の責任を認め、被害実態の正確な調査・把握、十分な補償を行うこと。
(5)震災時をはじめとする建物解体に伴うアスベスト飛散を防止するため、実効性のある予防策を行うこと。
6、反核・平和と国民主権を強化・充実する要求
(1)安全保障関連法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すこと。
(2)憲法を守り、憲法どおりの国づくりをめざすこと。
(3)沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古への新基地建設を行わないこと。
(4)唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、条約に参加をしない核保有国などに批准を求めること。
(5)ロシアによるウクライナ侵攻の事態打開のため非軍事的外交努力を強めること。
以上