兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年6月25日(2009号) ピックアップニュース

主張 7・10参議院選挙
投票に行って新自由主義路線を止めよう

 7月10日に参議院選挙が行われる。国政選挙は国民の生活と国の将来を決定するもので、国民の意思を政治に反映させる重要な機会である。
 この間の政治を振り返るに、岸田首相は昨年の自民党総裁選で「新しい資本主義」を声高に叫び、首相に就任したが、主張は後退する一方だ。
 当初の「新しい資本主義」は、「働く人への分配機能の強化」「中間層の拡大と少子化対策」「看護、介護、保育などの現場で働く人の収入増」を柱とし、分配による格差是正だったが、今や「分配」から「成長」に舵を戻し、旧態依然とした資本主義に回帰している。政策理念も明確でないため、「新しい資本主義」を理解し、説明できる人はいないだろう。
 ただ、首相から大きなビジョンや意気込みが伝わってこないにもかかわらず、内閣支持率は軒並み50%超えである。支持理由は「人柄が信頼できる」「他より良さそう」などであり、「何かを成し遂げたか」と問われれば答えに詰まる。
 骨太の方針では、財政黒字化の2025年度限度が明記されなかったが、目標は堅持するとし、積極財政、緊縮財政の両派に配慮した形だ。
 大きな枠組みとしては「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢を堅持するとし、「安倍」のミクスへの気づかいも忘れない。小派閥出身で「聞く耳」の大きな首相には、小泉政権以降の「新自由主義」を転換することができなかった。しかし、選挙前には何もせず争点をずらして、具体的な批判を抑え込み、失言とスキャンダルに目を光らせ、G7などでマスメディアへの露出度を高めれば、選挙前準備は思惑通りである。「雉(岸田)も鳴かずば撃たれまい」作戦と囁かれている。
 今回の参院選後は、その後3年間は国政選挙がない。参院選の結果によっては、平成のデフレを生み出した「民営化」「規制緩和」「緊縮財政」「社会保障削減」を特徴とする新自由主義が猛威を振るい、2年後の診療報酬、介護報酬は厳しいマイナス改定となるだろう。
 安全保障問題では、ウクライナ危機を口実にした憲法9条改憲や軍事費のGDP比2%への倍増計画、「反撃能力」と名を変えた相手国の政府中枢も含む敵基地攻撃能力の保有が自民党より示されている。また維新は核共有も検討すべきと主張している。いずれも周辺諸国との緊張を高め、日本を戦場としかねない方向だ。
 日本国憲法の三つの原則である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を実現するために、ぜひ投票に行こう。
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