兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年6月25日(2009号) ピックアップニュース

第54回総会を開催 医療費抑制政策から転換を
美馬達哉立命館大学先端総合学術研究科教授が記念講演

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拍手で保険医療拡充を求める総会決議を採択

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美馬先生がコロナ禍には社会的要因も絡んでいると語った

 新興感染症に備え医療費抑制政策を転換し、公衆衛生体制や医療提供体制の抜本的強化を-。協会は6月19日、第54回総会を協会会議室で開催した。会員ら71人が参加し、2021年度会務報告と新年度方針案、予算案を承認し、総会決議を採択した。立命館大学・先端総合学術研究科の美馬達哉教授が記念講演を行った。(次号に決議と詳報を掲載予定)

 西山裕康理事長はあいさつで、コロナ禍で受診抑制が続いていることについて、「医療機関の収入はマイナス3.2%と、国民皆保険制度発足以来の減収幅だ。少なくない医療機関が存続の危機に瀕している」と指摘。一時は「医療崩壊」と評されるほどに医療提供体制が逼迫したことについては、「民間病院がコロナ患者を受け入れなかったからではなく、平時の脆弱さが露呈したものだ」とした。そして「医療は警察や消防と同じく社会的公共財」だとし、医療提供体制の拡充は国の責任だと訴えた。
 最後に7月10日投票の参議院選挙について、「新自由主義の是正が世界的なムーブメントだ。格差を拡大する政治を転換し、社会保障を拡充させる政治を求めよう」と訴えた。
 全国保険医連合会の住江憲勇会長は来賓あいさつで、「貧困と格差をここまで拡大させたのは政治の劣化だ。労働分配率をあげていかなければならない。政治を変えるため兵庫協会とともに力を尽くしたい」と訴えた。
 武村義人副理事長が、1年間の医療を取り巻く情勢や協会の活動について会務報告。また、方針案では、岸田首相の言う「新しい資本主義」は、これまでの新自由主義的政策の延長に過ぎないと強調し、政府の医療・社会保障費削減と患者負担増政策、改憲の動きに対峙すると強調した。新年度方針案では75歳以上の医療費窓口負担2倍化中止を求め、憲法・平和・民主主義を守る政治への転換に力を尽くすとし、引き続き「頼りになり、役立つ協会」となるよう全力を尽くすと提案した。また、吉岡巌副理事長が、2022年度予算案を提案し、それぞれ承認された。
 討論では、参院選を前に社会保障充実を求める協会の取り組みや、兵庫県での反核医師のつどいへの参加呼びかけ、歯科技工問題懇談会の開催、組織拡大など、フロア発言も含めて8人が発言した。
 最後に新型コロナウイルス感染症の今後の拡大に備え医科・歯科医療機関経営を保障すること、新型感染症に備えるため医療費抑制政策を転換し、国の責任で公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること、患者・介護利用者負担増計画をやめ、税・保険料の応能負担を強化し、医療・社会保障を拡充すること、保険でより良い歯科医療の実現へ歯科保険適用範囲を拡大すること、災害被災者に対して公的補償を抜本的に強めることなどを求める決議を採択した。
 記念講演では、立命館大学大学院先端総合学術研究科の美馬達哉教授が、「感染症社会からみえた社会防衛の思想」と題して講演。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、社会的・経済的・文化的な要因が大きく影響している「シンデミック」であることや、人間社会のグローバル化が新興感染症を引き起こしている側面、また社会的に見ると日本固有のクラスター対策には患者を悪とみなす面があり感染者の排除強化が懸念されることなどを解説した。
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