2022年7月05日(2010号) ピックアップニュース
燭心
憲法は為政者の権限を制限して国民を守るための法規範である。猛獣をつなぎ止める鎖のようなものだ。憲法改正は、縛りを厳しくする時に国民の側から提案されるべきで、それを声高に提唱する為政者は信用できない。自らの権力増大を狙う場合がほとんどだからである▼さて憲法9条は、いまだ明確にしていない諸外国への謝罪に代わるもので、ドイツのナチス徹底排除に匹敵する。岸田政権はこれを曖昧にし、核の傘論を訴えている。しかしそんなものは空想である。だからこそロシアによる核使用を危惧するのである▼兵器は人を殺し、生活を破壊するもので、決して人を守らない。ロシアもウクライナも人々が否応なしに兵士にされ、死んでいった。一時帰国の海外在住民も出国を拒絶された。国民の命を守るため大切なのは外交努力のみであるが、岸田総理は具体策を一切表明しない▼敵国に対抗して鎖を解き放っても決して守ってはくれない。軍隊の目的は国土と国体の保全のみであり、そのために国民は消費される。ウクライナ情勢はまさにこのことを具現化している。列強の武力頼みのパリ講和条約の時代とは違い、世界の世論と経済が暴走者にのしかかる。プーチンですら無視できない。経済協力と支援の枠の中に取り込んでしまえば危険を冒してまで暴走する必要はなくなるだろう▼世界中の国々に憲法9条があれば、究極の平和維持となる。今こそ平和憲法を世界に広める時。平和であってこそ美味い酒が飲めるのである(酔)