2022年7月05日(2010号) ピックアップニュース
歯科技工問題懇談会
歯科技工の窮状 国会議員へ訴え
歯科技工物の作製は歯科治療の重要な部分を担っているが、低すぎる歯科医療費のために、歯科技工士は長時間かつ低賃金での労働を強いられている。そのために技工学校卒業後の離職率は5年で7割とも言われる状況に陥り、将来的に国内で歯科技工物を作製できなくなるとの声も出ている。この問題の改善を求めて協会歯科部会と兵庫県民主医療機関連合会などで構成する「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会は、同懇談会を開催した。
司会を務めた同連絡会世話人の雨松真希人歯科技工士(「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会代表)は「2021兵庫歯科技工アンケート」結果をもとに「1人ラボが全体の7割に及び、4人に1人が週労働時間90時間を超え、休日もとる余裕もない」と指摘。「歯科技工危機打開のためにも忌憚のない意見交換を」と呼びかけた。また白岩一心協会副理事長は「保険診療と私の技工問題」と題し技工士の社会的地位向上のために歯科医師として取り組むべき課題などについて話題提供した。
歯科技工現場の声として、姫路市の技工士から「技工料が安く超長時間労働・超低賃金のために20~30代の若い歯科技工士の離職率は約8割。自分は家族経営で何とかやっているが業界全体としてはもう限界」、尼崎市の技工士から「週労働時間90時間を超える技工所も少なくない。県内の技工士養成学校が閉鎖されて久しく、人材供給の状況は悪くなるばかり。歯科技工物の点数の7割を技工士に3割を歯科医師に配分するという7:3の大臣告示を守ってもらっても総額が低いので改善にならない」などの切実な意見が出された。
歯科医師からは「7:3の大臣告示が形骸化しているのは、歯科医師のモラルも問われる」「ラボ同士の低価格競争に晒される中、多くの技工士から歯科医師に不信が募るのも必然」「歯科医師と技工士が分断されるのでなく、歯科医療費総枠拡大に向けてともに声を挙げるべき」などの意見が出された。