兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年7月15日(2011号) ピックアップニュース

今次改定に関する会員病院アンケート調査結果
感染対策向上加算「コロナ患者受入れ」要件に不満

 協会の病院・有床診療所対策部は、5月に県下283の会員病院に対し、新設の「感染対策向上加算」を中心とした今次診療報酬改定等に関するアンケート調査を実施。102病院から回答を得た(回答率36%)。
 今次改定率(全体▲0.94%、本体+0.43%)については、「大いに不満」が22%、「不満」が46%で、合わせて68%となった。「どちらでもない」は29%、「満足」は1%だった(図1)。
 回答病院のうち、5月1日現在で新型コロナ感染症を受け入れる「重点医療機関」は22件、疑い患者を受け入れる「協力医療機関」は17件、発熱外来をしている「診療・検査医療機関」(県のホームページで公開されているものに限る)は57件、「いずれでもない」は23件であった(複数回答)。
 「いずれでもない」のうち、これから申請する予定もないと回答した病院は20件。理由としては、「療養病床のみで一般病床がない」11件、「専用病床の確保・ゾーニング等が困難」11件、「対応できる看護師の確保が困難」8件、「コロナ患者を受け入れる診療科がない」9件、「採算がとれない(費用と収入が見合わない)」2件、「スタッフの理解が得られない」2件となった(複数回答)。
 今年3月末時点で、感染防止対策加算1(390点)または2(90点)のいずれかを届け出ていた医療機関は72件。そのうち、5月1日現在で改定後の感染対策向上加算1(710点)、2(175点)、3(75点)のいずれも届け出ていない病院が6件あった。理由としては、「重点医療機関や協力医療機関、診療・検査医療機関でないため」が4件、「その他の施設基準を満たすことが困難なため」が2件であった(複数回答)。
 「感染防止対策加算」から「感染対策向上加算」への改定について、(1)「感染防止対策加算から要件変更した今回の改定でよい」29件、(2)「改定前の感染防止対策加算に戻すべき」3件、(3)「改定前の感染防止対策加算は残し、新型コロナ等新興感染症への対応は別点数で評価すべき」58件となった(図2)。
 理由としては、(1)は「コロナ禍において感染防止対策に評価がされることは当然必要であり、それに伴い要件が厳格化されるのは当然」「新型コロナのような新興感染症に対して、限られた医療機関のみで対応するのではなく、医療界全体でかかわっていくための改定であると理解している」、(2)は「新型コロナ受入医療機関でなくとも感染防止の観点から消毒や消耗品の使用率は大幅にあがったため、それに見合う報酬があってほしい」、(3)は「新型コロナ等の対応はあくまでも特例。従来の加算とは分けて対応するのが望ましい」「コロナ等感染症対応を行っている医療機関は評価されるべきだが、当院のような精神科単科の医療機関の場合、改定前の感染防止対策加算に対する基準は満たすことができても、それ以上のことは難しい」などがあげられた。
 その他、アンケートの自由記載欄では、レセプト「摘要」欄記載の簡素化など多数の意見が寄せられたので紹介する。
【今次改定内容等への意見・要望】
・レセプトのコメント等、一つひとつの手間がかかりすぎて時間がいくらあっても足りない。大変になっていくばかりで、どうにかしてほしい。
・以前より提言しているが、地域の特性に応じた診療報酬改定も考慮していただきたい。当院は中山間地域に位置し、急性期や慢性期にも応じた対応を求められている。
・精神科病院に対しては県から新型コロナ感染症の受け入れについての補助金制度の説明がほとんどなかった。感染者の中には認知症の方もいて、感染症病棟では対応に困難なケースもあったかと思う。精神障害者の感染対応は公立精神科病院が対応しているが、補助金制度の説明があれば、民間精神科病院においても協力を検討する余地があると思う。
・年々、事務負担が増加の一途であるが、医師の負担軽減や看護師の負担軽減と同様に、シンプルな改定内容を心がけてほしい。事務作業が複雑かつ負担過多となり、10年以上前に比べて医事課に新人が入職してから、一人前になるまでの年数がかなりかかるようになった。将来の担い手不足が懸念される。
・どこの病院も感染対策をしているので、昨年9月まで算定できていた、「感染症対策実施加算」のようなものがあればいいのに。
・今回の改定はコロナ対応を含んだ評価が大きく反映されたものと理解しているが、それに偏った点数の配分になっていると感じる。

図1 今次改定率について
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図2 感染防止対策加算から感染対策向上加算への改定についての評価
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