2022年7月15日(2011号) ピックアップニュース
近畿反核医師懇談会・市民公開オンライン企画
長崎の全被爆者に早急な補償を
山本氏は、「軍国少年」だった少年の時に被爆した体験を語り、日米両政府によって内部被ばくの存在は隠され、被爆地域が長崎市と周辺の一部の村に限定されたと説明。爆心地から12㎞の未指定地域の住民は「被爆体験者」とする支援事業は非常に限定的なものであり、「被爆体験者」が集まり「長崎被爆地域拡大協議会」を発足させ、粘り強い国への訴訟・住民運動を続けていると語った。
広島の指定地域外の内部被ばくを認めた広島高裁の「黒い雨」裁判について、国は判決を受け入れたにもかかわらず、内部被ばくを認めずに疾病で被害者を分断した上、長崎の被爆体験者は対象に含まれていないと批判した。最後に、「核兵器使用」を公言するプーチン大統領や核兵器禁止条約に背を向ける被爆国日本の岸田文雄首相、広島・長崎に原爆を投下した米国のバイデン大統領に向け、77年前の広島・長崎の惨状を調査した米国の調査団報告書にある通り、核保有国と核の傘にある国は、原爆が将来使用されるのを防ぐ国際的な保障と制御体制を確立する責任があると強く訴えた。
大矢氏は、長崎原爆の残留放射線について、米軍、九州帝国大学や理化学研究所の調査によると、政府の被爆指定地域はもとより、被爆体験者が是正を要望している12㎞圏内の外側でも、放射性降下物は広がっていると紹介。また、被爆体験者に種々の健康被害が発生しているとの調査結果を紹介した。
そして、広島高裁判決をふまえ、長崎のすべての「被爆体験者」に被爆者健康手帳を交付すること、残留放射線や放射性降下物の測定データ等を検証し、すべての原爆被害者に被爆者健康手帳を交付することが必要だとした。
長崎県保険医協会の本田孝也会長もオンラインで参加し、運動への協力を訴えた。