2022年7月25日(2012号) ピックアップニュース
燭心
参院選は与党が勝利し、改選過半数を確保した。コロナ対策、気候変動、高齢化、人口減少、安全保障。課題の多い選挙だったが、それらがどこまで争点になったかは甚だ疑問だ。将来に深刻な影を落としている経済について、野党はそろって危機的な状態だと訴えたが、国民は長らく国力を停滞・衰退させ、社会保障を削減し続けてきた自民党政治を改めて選択した▼選挙結果について、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏は「現状維持の選択。ああそうですか」と語った。現状に警鐘を鳴らし続けてきた方なだけに、国民の意識への達観も感じる▼他方、憲法は「現状維持」されないかもしれない。改憲勢力が3分の2を維持し、岸田首相も意気込みを見せており、いよいよ改憲論議が進められそうだ。「国民が一番割を食うことになるが責任は国民が引き受けるしかない」と前出の内田氏は言う▼憲法99条に定められているように、国会議員には憲法を尊重し擁護する義務がある。「国民が選んだ」為政者たちはその義務を果たしていると言えるだろうか。憲法に従わなければならない政治家が、その憲法を敵視し声高に改憲を叫ぶ。立憲主義はどこへ行ったのか▼戦後、国民が戦争で命を失うことはなくなった。戦争を認めないことで、国際平和に貢献してきた。平和憲法は世界に誇れる私たちの宝物だ。〝黄金の3年間〟では、いさせない。憲法を守り、守らせる運動を続けよう。「ああそうですか」ですませるわけにはいかない(蓮)