2022年7月25日(2012号) ピックアップニュース
物価高騰に対し医療機関への財政措置を
県・市町に緊急要請
新型コロナ禍による受診抑制や感染対策費増に加え、ロシアによるウクライナ侵攻や、アベノミクスによる金融緩和に端を発する円安による物価の高騰が、医療機関経営の悪化に追い打ちをかけている。
要請は、厚労省が光熱水費や医療材料費、食材料費の高騰について、医療機関も、地方自治体の判断で新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(臨時交付金)の活用ができる旨の通知(6月7日「令和4年度における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の取扱い及びコロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』について」)を都道府県に発出していることを受け、国民の受療権を守るため、この臨時交付金等を活用し、独自の財政措置を急ぎ講じるよう求めるもの。
実際に、神戸市では臨時交付金を活用し、介護・福祉サービス事業者に対する給付金の支給を決定している。
7月14日、西山裕康理事長と吉岡巌副理事長が兵庫県に要請書を持参。県医務課の波多野武志課長が応対した。
要請で、病院理事長である吉岡副理事長は「低すぎる診療報酬により、病院の給食を担当する栄養課は恒常的に赤字だが、この間の物価高騰で10~15%費用が上がっており、他の部門でがんばって何とかカバーしている状況だ。協会が6月に厚労省に診療報酬等による緊急是正を要請したところ、『地方創生臨時交付金を積み増しし、都道府県には食費の補助などで活用できる旨を通知している』との回答だった」として、財政措置を求めた。
波多野課長は「おっしゃる通り、本来は診療報酬で対応すべき問題と考えている。内閣府の交付金の趣旨は、生活困窮者に対するものであり、全医療機関対象は難しい」との見解を示した。
協会は内閣府の文書でも「中小企業者への支援」に使えることになっていると指摘。西山理事長から「地方経済で医療機関が果たしている役割は大きいが、医療機関は費用の高騰について転嫁できないので、県としての対応を改めて求めたい」と重ねて要請した。