2022年8月25日(2014号) ピックアップニュース
九条の会・兵庫県医師の会市民講演会「沖縄から見た憲法の危機」
日米地位協定改定で主権取り戻そう
前泊先生は、現在沖縄が置かれている状況について、米軍基地からの、人体や環境に有害な影響がある有機フッ素化合物(PFOS)の流出が問題になっているにもかかわらず、国や県の立ち入り調査をアメリカ側が拒むなど、県民の健康を脅かしている実態があると紹介。環境補足協定により日本側は立ち入り調査を「申請することができる」とされているが、アメリカ側に受け入れ義務は課されていないという不平等な協定が問題の根底にあると指摘した。
また、日米地位協定では、米軍による事件や事故の現場に日本の捜査機関は立ち入ることができないが、日本と同様に米軍基地があるドイツ、イタリア、ベルギー、イギリスでは、米軍による事故の際は自国の警察が捜索可能なほか、訓練・演習も自国の承認が必要であることから、世界的に見ても日米関係は「犯罪捜査を犯人にさせる」ような異常な状況であるとした。
最後に、現在の日本は、憲法の上に日米同盟を置く「対米追従の似非法治国家」の状態であり、「自国領域内は自国法で統治する」という主権国として当然の権利を回復するためには、不平等な日米地位協定の改定が必要だと説明。改定を阻む要因として国民やメディアの無関心、政治家や官僚の能力不足などを指摘し、日米関係の現状と地位協定改定の必要性を国民に知らせるとともに、憲法を守る立場でアメリカと対峙できる政治家を選ぼうと訴えた。