兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年9月05日(2015号) ピックアップニュース

燭心

 西日本医科学生体育大会が3年連続中止となった。医学部生内の万一のクラスター発生を考えれば理解できるが残念である▼そもそも医学部生の体育大会、さらには部活動そのものの必要性についても賛否がある。「せっかく合格したのに、部活動ばかり」という親御さんの声も聴く。過去には留年する猛者もいた▼ただ、体育会系クラブを5年間続けた筆者としては、鍛えた心・技・体を競う集大成の大会の消滅は想定外で、勝利の喜び、敗退の悔しさを味わえない後輩を気の毒に思う▼筆者は入学後、2年間「教養部医学部進学課程」があり、ドイツ語だの哲学だの「教養」の単位習得が進学に必須だった。他学部生との交流もないこれら「教養」より、部活動で協調性やコミュニケーション能力、先輩・後輩との繋がりを培う方が将来に役立つ▼以前、「人文科学系、社会科学系の学部の見直し・廃止」という方針が出され、交付金や補助金の減額におびえた大学が文系を縮小した。曰く「学術研究を深めるのではなく、社会のニーズを見据えた実践的な職業教育を行う」「一部の大学・学部を残し、それ以外は職業訓練校に改変する」▼古くから医学部は職業訓練校であり、学習量と質は過去と比べられないほど多く、そのカリキュラムは「パンパン」で学生に時間的余裕は少ない▼ただ、仲間の少ないインテリ不良の高校生だった筆者に、協調性やコミュニケーション能力が備わったとすれば、大半は大学の部活動で得られたものである。(空)
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