2022年9月25日(2017号) ピックアップニュース
税経部より 税務調査の心構え
調査は任意 毅然とした対応を
コロナで減少の調査 今年から平年並みに
医療機関への税務調査の件数はコロナ感染の影響もあり近年減少していますが、税務署は来年のインボイス制度の実施と合わせ、本年から消費税がらみの調査件数を増やすなどコロナ対策を講じながら平年の調査件数に戻すとの方針です。お尋ね等の行政指導と「ハイブリッド調査」という、呼び出しによる確認、実地概況調査などを組み合わせた手法により、調査以外の形で納税者と接する機会を増やそうとしています。従来通り、税務調査は任意調査であり、毅然とした対応が必要です。事前通知から当日までの対応で気を付けるべきポイントを解説します。
事前通知への適切な対応を
税務調査は納税者に電話で事前通知されます。まず実地の調査を行う旨を通知し調査日を決めることになります。それから事前通知の内容は、調査担当者、場所、目的、対象となる税目、調査の対象の期間・帳簿書類など11項目にわたります。通知と異なる調査は違法です。協会の事前通知チェックシート(協会事務局にご注文ください)を活用して漏れなく確認し、内容を記録しましょう。協会・保団連では、国税局や国税庁に対して書面による事前通知を要求していますが、書面での通知は拒否されています。準備期間が短い場合には、顧問税理士や協会と相談して余裕の持った調査日にしましょう。また合理的な理由での変更が可能です。なお、税理士に提出する税務代理権限証書には本人への通知が省略されるチェック欄がありますが、通知は本人が受けることが望ましいでしょう。
調査当日には毅然と対応 調査終了時の対応
調査当日は、税務署員には身分証明書の提示を求め、所属や氏名、調査理由、調査期間などを確認しましょう。あくまで税務調査は任意調査です。納税者の同意を得て進めなければなりません。調査時は金庫・机の引き出し・スマホ・私物等を勝手に調べることはできません。例えば「パソコンを見せてほしい」と言われても触らせず、必要な部分のみ印字して示しましょう。
書類の持ち帰りやコピーを求められても応じる義務はありません。書類を撮影したり、データをUSBメモリなどで持ち帰ろうとすることも必ず断りましょう。
不当な調査をチェックするためにも、メモや録音をとり、内容を確認しましょう。
また、臨場時のやり取りについて「質問応答記録書」の作成協力を求められることがありますが、法律上の強制力はありません。訴訟となった場合に税務署側の「証拠資料」となりますので、安易にサイン(押印)はせず、内容は必ず確認し、問題点は指摘することが大事です。税務署は調査終了時は、問題点がなければその旨など、必ず調査結果の説明をしなければなりません。修正すべき事項は納得できるまで話し合いを持つこと、修正申告書の勧奨があっても、安易にサイン(押印)に応じないことが大切です。
カルテ開示には応じない
医師・歯科医師は、医師法・歯科医師法とは別に、刑法等により厳格な守秘義務が課せられています。患者さんの個人情報を含むカルテの開示を求められても応じてはいけません。自費診療収入の額などの会計記録を診療記録であるカルテには記さないように、日常からの注意も徹底しましょう。「お尋ね」文書にご注意を
税務署は「申告内容のお尋ね」といった行政指導文書を送付して呼び出すなど、納税者との接触を増やしていますが、行政指導は法律上「任意の協力によって」実施するものです。応じないために不利益な取り扱いを行うことは禁止されていますので、安易に回答しないように気をつけましょう。調査の通知の際には協会(電話078-393-1807)や税理士にご相談ください。事前通知チェックシートをご入用の場合も、協会にご連絡ください。
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