2022年10月15日(2019号) ピックアップニュース
燭心
「給付付き税額控除制度」という納付税額が少なく、税金を控除できない者に現金を給付する制度がある。フリードマンの「負の所得税」を応用したもので、日本では2012年の自民、民主、公明の3党合意で検討事項となった。給付のためには国民に番号を振り分け、銀行口座と紐付けが必要だというのが、個人番号制度導入の理由の一つとなった▼しかし、マイナンバーカードは必要性のなさ、利便性の低さに加え、信頼のおけない政府に銀行口座など知られたくないという思いが強いのか一向に普及しない状態が続き、政府はなりふり構わず乱暴な方策を講じた▼ポイントを餌にすることである。マイナンバーカードを取得すると5000ポイント、健康保険証の利用申し込み、公金受取口座の登録にそれぞれ7500ポイント、計2万円相当がもらえる。財源は?当然国民が納めた税金から。ポイント目当てで申請者は50%を超えた▼さらに問題沸騰中の「オン資義務化」である。医療機関・薬局でマイナンバーカードを保険証として使えるよう義務化するという。療養担当規則に書き込むとされ、まさに恫喝状態。9月27日には日弁連会長が「強制に反対」という声明を発出した▼個人番号制の問題は政府による国民の情報管理・監視という悪質な意図に加え、IT産業への巨大なビジネスチャンスの提供という側面も見過ごせない。「コロナ禍で明らかになったのはデジタル化の遅れ」などというが、全くデタラメな政治である(無)