兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年10月25日(2020号) ピックアップニュース

オンライン資格確認 厚労省に義務化撤回求める
厚労省4月からの完全義務化「難しい」

 突然、療養担当規則を改定し、医療機関に来年4月から義務付けられた「オンライン資格確認」。協会では、反対署名に取り組むとともに、会員からの切実な声を受け、10月4日に厚生労働省交渉を実施し、オンライン資格確認の義務化の撤回を迫るとともに、閉院予定の医療機関や回線の問題等への対応を問いただした。

通常のネット回線でも可能の方向
 交渉では、厚労省の保険局医療介護連携政策課保険データ企画室から担当官が出席した。
 協会側からの、オンライン資格確認導入に必須となるNTT西日本によるフレッツ光回線が開通していない地域の医療機関はどうすればよいのかとの質問に、厚労省側は、サービス提供範囲外では通常のインターネット回線(ADSL等)を利用できるように業者と相談を進めていると回答した。
 これに対し、協会は4月からの義務化を決めておきながら、いまだに業者と相談しているなどというのはあまりにも無責任であり義務化は撤回すべきであると強く訴えた。
閉院予定の場合猶予措置の可能性
 また、厚労省がオンライン資格確認システムの導入に際して、補助金を利用した場合、法定耐用年数内に、閉院などでシステムを使用しなくなった場合は補助金の全部または一部を返納せよとしていることについて、協会は高齢の医師・歯科医師から「数年以内に閉院する予定なので、これを機にオンライン資格確認システムを導入せず閉院時期を早める」との声が届いていることを紹介。「開業医の高齢化が問題となる中、地域での医療提供体制が脆弱となる恐れがあり、年齢等による例外規定を設けるべき」と迫った。
 厚労省側は、年限は決まっていないが、閉院予定が近い場合は対象外とする方向で議論を進めている旨の回答を示し、閉院予定の医療機関に対しては、義務化を押し付けない可能性を示唆した。
4月時点での取り消し「ありえない」
 ベンダーの業務ひっ迫により、期限内に運用開始ができない医療機関が多数発生する可能性について、厚労省は「現在のペースでは、4月にすべての医療機関がオンライン資格確認を導入することは無理だと考えている」と回答。「様々な事情で導入が困難な医療機関については、経過措置を設けるか、恒久的に対象外とする等の対応をとる予定である」とした。療養担当規則の変更について「(違反による)4月の時点での保険医療機関指定取り消しはありえない。地方厚生局に対しても、個別の事情を丁寧に把握して対応するようにと徹底している」と述べた。
 ただし、補助金については、「3月末以降についても厚労省としては当然、補助金の延長を強く求めていくが、確実ではない」とした。
 これに対し、協会は、ベンダーの業務ひっ迫で導入開始が遅れたことを理由に医療機関に負担を強いることがあってはならないと強く訴えるとともに、改めて義務化の撤回、延長を迫った。
 協会では、引き続き「義務化撤回を求める署名」に取り組むとともに、会員からの声を集め、厚労省や財務省に必要な措置をとるよう求めていく。ぜひ、多くの会員の協力をお願いしたい。

図 オンライン資格確認導入のプロセスと問題点
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