2022年12月05日(2024号) ピックアップニュース
2022年度会員意見実態調査結果(1)「医療・社会保障、政治・経済」
患者負担増に6割が反対
協会が7月に実施した2022年度会員意見実態調査結果で、政府がすすめる患者窓口負担増について会員の6割が反対していることが明らかとなった。病床削減についても6割近くが反対し、政府の進める医療費抑制政策を問題と考える意見が多いことがうかがえる。同調査は、1988年より2年に1度、診療報酬改定の年に、会員の意見を広く把握し、協会活動に生かすために、改定の影響など医療・社会保障から政治・経済など、情勢に応じた質問で調査を行っている。今号から結果をシリーズで紹介する。
政府は今年の10月から75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げたが、受診抑制への懸念などから、会員の反対意見が強いことがうかがわれる。
「政府が進める地域医療構想による病床削減について」は、「反対」が55.6%と前回の64.3%から10ポイント程度低くなっている。しかし、18年調査の46.8%と比較すると10ポイント近く高くなっている。「分からない・その他」は32.3%、「賛成」は7.6%となっている(図2)。「急性期病床について」は、「少ない」との回答が44.4%を占め、18年調査から10ポイント近く高くなっている。「看護師数について」も、「少ない」が58.3%を占めている。
新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ病床等がひっ迫するなか、急性期病床の不足を感じ、政府が進める病床削減を問題ととらえる会員が大きく増加していると考えられる。
「営利企業の医療機関経営への参入について」は、「反対」が72.7%と多数を占め、「分からない・その他」が18.1%、「賛成」はわずか4.2%であり、医療に営利を持ち込むことには会員の抵抗が非常に強いことが分かる。
「混合診療の全面解禁について」も「反対」が33.9%と最も多く、「分からない・その他」32.0%、「賛成」28.6%となった。ただ、歯科では「賛成」が48.4%と、医科の19.3%に比べて高くなっており、歯科の診療報酬が低く抑えられ、実質的に混合診療となっているなか、容認意見が強いと考えられる。
「新専門医制度について」は「分からない・その他」が54.9%、「反対」が32.6%で、「賛成」はわずか6.8%となり、2018年4月の制度導入から5年近くとなるが、制度についていまだに十分に知られていないことがうかがわれる。
コロナ禍でも内部留保を増やし続ける大企業がより負担すべきと考える会員が多いことが分かる。
消費税について、今後どうするべきか尋ねたところ、「現状でよい」が39.6%と最も多い。「5%に戻すべき」が15.2%、「廃止すべき」が10.2%、「8%に戻すべき」が6.8%と、消費税の廃止または税率引き下げを求める回答を合わせると3割超となった(図4)。野党の一部がコロナ禍と物価高騰対策として消費税減税を訴えていることや諸外国で消費税が減税されていることなどが影響していると思われる。一方、「税率をもっと引き上げるべき」は15.2%にとどまった。政府税調ではすでに消費税増税の議論が開始されているが、国民的な支持を得るのは難しいと思われる。
「医療にかかる消費税について」は、「保険診療にゼロ税率を適用して還付すべき」が45.7%、「軽減税率で対応すべき」16.8%、「現状でよい」15.0%、「補助金による還付を行うべき」5.8%との回答となった。
医師会の一部では10%への消費税増税時に診療報酬により補填されたとの意見もあるが、会員は協会・保団連が方針と掲げる、ゼロ税率による控除対象外消費税の解消を求める声が多いことが分かる。
岸田内閣については、内閣を「支持する」は36.8%、「支持しない」39.1%と不支持が支持を上回った。
「支持する」理由については、「自民党を中心とした政権だから」が42.9%と最も多かったが、低い順に「医療政策がよい」8.6%、「経済政策がよい」12.9%で内閣を支持する層でも政策を支持しているわけではないことが明らかになった。
「支持しない」理由では、「経済政策が悪い」が73.8%、「医療政策が悪い」が53.7%で、政策が支持されていないことが明らかになった。物価高騰やコロナ対策など求められる政策を実施していない、政府に対する不信が高まっていることがうかがえる。
支持政党については、自由民主党が37.0%で最も多く、「支持政党なし」が33.9%と続いた。その他の政党では、日本維新の会8.4%、日本共産党3.9%、立憲民主党2.1%と続いた。
「現行の日本国憲法改正について」は「賛成」44.9%、「分からない・その他」27.8%、「反対」21.5%と賛成が多かった。「戦争の放棄、戦力不保持を定めた憲法9条について」の考えを尋ねると、「見直すべき」51.7%、「堅持すべき」28.4%で14年調査以来「堅持すべき」が「見直すべき」を上回っていたが、8年ぶりに逆転した。
また、政府が検討している防衛費の2倍化についても「進めるべき」が39.6%と「見直すべき」の22.8%を上回った。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の対立などから、日本の防衛力の強化を望む会員が多いことが分かった。
病床削減に「反対」55%
「政府が進める患者窓口負担増について」は、「反対」が59.3%と、前回2020年調査の57.4%から増えた。次いで「分からない・その他」が22.1%(前回26.4%、以下同じ)となり、「賛成」は13.4%(9.8%)にとどまる(図1)。政府は今年の10月から75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げたが、受診抑制への懸念などから、会員の反対意見が強いことがうかがわれる。
「政府が進める地域医療構想による病床削減について」は、「反対」が55.6%と前回の64.3%から10ポイント程度低くなっている。しかし、18年調査の46.8%と比較すると10ポイント近く高くなっている。「分からない・その他」は32.3%、「賛成」は7.6%となっている(図2)。「急性期病床について」は、「少ない」との回答が44.4%を占め、18年調査から10ポイント近く高くなっている。「看護師数について」も、「少ない」が58.3%を占めている。
新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ病床等がひっ迫するなか、急性期病床の不足を感じ、政府が進める病床削減を問題ととらえる会員が大きく増加していると考えられる。
「営利企業の医療機関経営への参入について」は、「反対」が72.7%と多数を占め、「分からない・その他」が18.1%、「賛成」はわずか4.2%であり、医療に営利を持ち込むことには会員の抵抗が非常に強いことが分かる。
「混合診療の全面解禁について」も「反対」が33.9%と最も多く、「分からない・その他」32.0%、「賛成」28.6%となった。ただ、歯科では「賛成」が48.4%と、医科の19.3%に比べて高くなっており、歯科の診療報酬が低く抑えられ、実質的に混合診療となっているなか、容認意見が強いと考えられる。
「新専門医制度について」は「分からない・その他」が54.9%、「反対」が32.6%で、「賛成」はわずか6.8%となり、2018年4月の制度導入から5年近くとなるが、制度についていまだに十分に知られていないことがうかがわれる。
社会保障充実の財源「大企業負担」過半数
「社会保障充実のための財源」をどう考えるか、複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「大企業の負担を増やす」で5割が選択し、「赤字国債でまかなう」「(社会保障の)充実は必要なく財源は今のままでよい」との回答は少なかった(図3)。コロナ禍でも内部留保を増やし続ける大企業がより負担すべきと考える会員が多いことが分かる。
消費税について、今後どうするべきか尋ねたところ、「現状でよい」が39.6%と最も多い。「5%に戻すべき」が15.2%、「廃止すべき」が10.2%、「8%に戻すべき」が6.8%と、消費税の廃止または税率引き下げを求める回答を合わせると3割超となった(図4)。野党の一部がコロナ禍と物価高騰対策として消費税減税を訴えていることや諸外国で消費税が減税されていることなどが影響していると思われる。一方、「税率をもっと引き上げるべき」は15.2%にとどまった。政府税調ではすでに消費税増税の議論が開始されているが、国民的な支持を得るのは難しいと思われる。
「医療にかかる消費税について」は、「保険診療にゼロ税率を適用して還付すべき」が45.7%、「軽減税率で対応すべき」16.8%、「現状でよい」15.0%、「補助金による還付を行うべき」5.8%との回答となった。
医師会の一部では10%への消費税増税時に診療報酬により補填されたとの意見もあるが、会員は協会・保団連が方針と掲げる、ゼロ税率による控除対象外消費税の解消を求める声が多いことが分かる。
オンライン資格確認義務化「反対」半数超
「保険証廃止を前提としたオンライン資格確認の義務化」については、「反対」が56.7%と最も多かった(図5)。「分からない・その他」は21.8%、「賛成」は16.5%だった。実際、オンライン資格確認については、7月の段階ではあるが「導入予定はない」との回答が29.9%に上っている。政治に望むもの「社会保障の充実」6割
「政治に望むもの」は「医療・社会保障の充実」66.4%、「景気対策」55.6%、「子育て支援・教育の充実」50.1%の順となった。コロナ禍で明らかになった医療提供体制の脆弱性や他国に比べて停滞し続けている経済、少子化など、現在の日本が抱える問題の克服を求める声が多かった。岸田内閣については、内閣を「支持する」は36.8%、「支持しない」39.1%と不支持が支持を上回った。
「支持する」理由については、「自民党を中心とした政権だから」が42.9%と最も多かったが、低い順に「医療政策がよい」8.6%、「経済政策がよい」12.9%で内閣を支持する層でも政策を支持しているわけではないことが明らかになった。
「支持しない」理由では、「経済政策が悪い」が73.8%、「医療政策が悪い」が53.7%で、政策が支持されていないことが明らかになった。物価高騰やコロナ対策など求められる政策を実施していない、政府に対する不信が高まっていることがうかがえる。
支持政党については、自由民主党が37.0%で最も多く、「支持政党なし」が33.9%と続いた。その他の政党では、日本維新の会8.4%、日本共産党3.9%、立憲民主党2.1%と続いた。
核兵器禁止条約「批准すべき」6割超
核兵器を全面的に禁止とする「核兵器禁止条約」について、日本政府は批准(参加)すべきか尋ねたところ、「批准すべき」が60.1%と6割超が批准を求めた。「分からない・その他」が23.4%で、「批准すべきでない」は11.0%にとどまった(図6)。唯一の戦争被爆国である日本の条約参加を望む声が大きいことがうかがえる。「現行の日本国憲法改正について」は「賛成」44.9%、「分からない・その他」27.8%、「反対」21.5%と賛成が多かった。「戦争の放棄、戦力不保持を定めた憲法9条について」の考えを尋ねると、「見直すべき」51.7%、「堅持すべき」28.4%で14年調査以来「堅持すべき」が「見直すべき」を上回っていたが、8年ぶりに逆転した。
また、政府が検討している防衛費の2倍化についても「進めるべき」が39.6%と「見直すべき」の22.8%を上回った。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の対立などから、日本の防衛力の強化を望む会員が多いことが分かった。