2022年12月15日(2025号) ピックアップニュース
オンライン資格確認 強引な義務化はやめよ
厚労省・総務省・デジタル庁と交渉
政府からは厚生労働省保険局医療介護連携政策課保険データ企画室、総務省自治行政局住民制度課マイナンバー制度支援室、デジタル庁国民向けサービスグループから4人の担当官が参加した。
森岡副理事長は、改めてオンライン資格確認義務化、保険証廃止の撤回を要求。その上で、小児科医の立場から、新生児や乳幼児のマイナンバーカード取得の困難さを様々な事例を挙げて説明。出生後すぐに治療が必要となる病児の場合の資格確認について、奇形児や遺伝性疾患を持つ子どもの肖像権や人権の問題も含めて、デジタル庁や総務省の強引なマイナンバーカード取得推進のあり方を糾した。
担当官は、出生届を受理してからの番号通知書の発送やマイナンバーカード発行の迅速化に取り組むとともに、親子で役所の窓口に行かなくとも交付申請やカードの受け取りができるようにするなど、本人確認を担保した上で、制度の改善を行うとした。また、乳幼児のマイナンバーカードの顔写真について、6日の検討会で廃止の検討を開始したことを明らかにした。
電子カルテの導入義務ではない
また、森岡副理事長は院内の電子カルテシステムやレセプトコンピュータにオンライン資格確認システムを接続することを前提にベンダーが医療機関と契約を結ぼうとする例が多いことを指摘し、セキュリティ上の懸念について厚労省の見解を求めた。厚労省の担当官は「療養担当規則で義務化されるのはオンライン資格確認システムだけであり、電子カルテやレセプトコンピュータとの接続は義務ではない。セキュリティ上も接続することを推奨してない」と述べ、「ベンダーには医療機関との契約の際に、どこまでが法令上必要なものなのかわかるように見積もりを出すように指導している」とした。
補助金延長の可能性も
現在の補助金について厚労省は、中医協で総合的に検討するとしながらも、医療機関の責めに帰さない場合の義務化の猶予や補助金の延長について一定の理解を示した。オンライン資格確認システムの義務化が打ち出されて以降、協会主催の厚労省交渉はこれで3度目。引き続き医療機関の閉院や混乱などが起こらないよう年末の中医協を見据えて活動を強めていく。
12・1中央要請行動
要請強め義務化を撤回させよう
オンライン資格確認義務化・保険証廃止の撤回、こども医療費無料化などを求めて、協会・保団連は国会会期末を控えた12月1日、中央要請行動を実施。協会から、武村義人・森岡芳雄・川西敏雄各副理事長が参加し、兵庫県選出国会議員へ要請するとともに、厚労省との交渉や国会内集会に参加した。
国会議員は、井坂信彦・桜井周(いずれも立民)、一谷勇一郎・赤木正幸(いずれも維新)、宮本岳志(共産)各衆議院議員が面談に応じた。
井坂議員には、兵庫協会が実施したベンダーへのアンケート結果を報告し、オンライン資格確認義務化の期限とされている3月末までに新しくオンラインシステムのみを導入完了できると回答した業者は医科で2社、歯科で3社しかないことが明らかとなり、実務的には義務化は到底不可能であると訴えた。
桜井議員には、森岡副理事長が小児科の立場から政府の保険証廃止の問題点を指摘。川西副理事長は年末に取りまとめられる介護保険制度の改悪が、高齢者の生活や経済に与える悪影響について訴えた。桜井議員は「現場の声を国政に反映できるように全力を尽くしたい」と応じた。
宮本議員は、協会・保団連などの要請を受け、11月28日の衆議院総務委員会で、保険証廃止とオンライン資格確認義務化の問題を取り上げたと紹介。マイナンバーカードを作らない国民は医療から排除するのか、また、オンライン資格確認義務化が医療機関に過度の負担になっていると追及し、厚労省から地域医療に支障が生じることのないように丁寧に対応したい、マイナンバーカードを作らないことで原則今より不便になることはないという答弁を引き出したとし、撤回へ向けさらにがんばりたいと決意を述べた。
一谷議員と赤木議員とは短時間の面会となり、要請書を手渡した。