2023年2月05日(2028号) ピックアップニュース
九条の会・兵庫県医師の会講演会
改憲は「亡国の入り口」 福島雅典京都大学名誉教授が講演
日本学術会議でデュアルユース研究の危険性について講演されている福島先生は、再生医療やロボットスーツなど医療分野でも新たな技術が産まれており、それらは軍事技術にも転用できるため、研究者はその技術の意味を考える責務があり、哲学のない科学・技術は凶器であると指摘。
ルーズベルト米大統領(当時)に原子爆弾の開発を勧めた物理学者のアインシュタインが、広島・長崎への原爆投下ののちに「戦争には勝ったが平和は勝ち得ていない」と反省し、核兵器廃絶と科学技術の平和利用を訴える「ラッセル=アインシュタイン宣言」へとつながったことを紹介。医師をはじめとした科学者は人類の未来に重い責任があり、歴史から学ぶことと合わせ、政治を「我がごと」として考えるべきだと訴えた。
昨年12月17日、台湾や尖閣諸島などでの有事に備えることを名目に、これまでの政府見解と異なる「反撃能力」の保持を認める安保関連三文書を閣議決定したことで、政府は憲法を改正することなく、日本を「戦争をする国」にしてしまったと解説。さらに憲法改正により緊急事態条項が創設されれば、徴兵制ができるなど「亡国の入り口だ」と警鐘を鳴らした。
政府は「国を守るのが政府の責任」というが、福島先生は「安全保障上の脅威」とは「今後確実に衰退する国力」だと指摘。例えば、少子高齢化や労働生産性の低さ、食料自給率・エネルギー自給率の低さなど、立ち向かうべきはこれらの「脅威」であり、憲法を改正することで、安全保障が強化できるというのは妄想であると批判した。
最後に、「日本国憲法は、人類が戦争を重ねてたどり着いた理念の高み」であり、憲法9条は「現実との間に矛盾があるが、その矛盾があるゆえに政府と私たちに平和達成のための智慧と努力を説いており、矛盾こそに価値がある」とした。
九条の会 アピールに賛同を
九条の会・兵庫県医師の会は、「9条を持つ日本政府の責務は、国際社会の分断を修復し、ロシアの侵略に反対し、アジアの紛争を武力によらないで解決する枠組みを作るために各国に働きかけること」などとして、日本国憲法を守り、平和外交を実現することなどを呼びかけるアピールへの賛同を呼びかけている。賛同は、電話078-393-1807、arimoto@doc-net.or.jpまで