2023年2月15日(2029号) ピックアップニュース
閉院・継承セミナーが好評
納得のいく医院継承で地域医療守ろう 個別相談にも対応
浦上税理士は、閉院・継承時の税務について解説。長年多くの医療機関の税務を担当してきた経験から、廃業時期について、診療は12月に終え、翌年1月に退職金の支払い、医療機器の処分、原状回復費用など大きな赤字を出してから廃業届を出すことで、繰戻還付請求で過去に納めた税金の還付を受けられるケースなどを解説。また、自己所有物件を貸与した場合の家賃収入などにより、自身の健康保険料や医療費窓口負担が増加する可能性があるため、賃料の設定や保険医年金の受け取り方をよく検討するようアドバイスした。
医療機関の第三者継承の支援を専門に行っている牟田氏は、自身が関与した継承事例から、継承時期や金額など双方で折り合わず時間がかかることもあるが、新規開業よりコストが抑えられたり、ベテランのスタッフを引き継げるなど継承のメリットを紹介。後継者がいない診療所の比率は85%と他業種に比べて高い傾向にあるが、納得のいく医院継承により地域医療を守ろうと呼びかけた。
医療機器の閉院支援を行う杉谷氏は、診療所を廃止するにあたっての届出等のスケジュールや文書の保存期間、処分方法について紹介。廃棄する医薬品の分別ができていなかったり、廃棄物に水銀など特定の物質が含まれていると処分費用が高額になるなどの注意点を解説。テナントの賃貸借契約やリース契約の内容などを確認することを呼びかけた。
参加者から多数の質問が出され講師が回答するとともに、セミナー後には個別相談にも随時対応している。
閉院・継承のご相談は、電話078-393-1817まで
感想文
閉院・継承セミナー
具体的でわかりやすく今後も継続して企画を
協会が開催した「閉院・継承セミナー」で司会を務めた澤村新理事の感想を掲載する。
1月21日に「医院の閉院・継承」をテーマに協会税務講師団税理士の浦上立志さん、エニータイムヘルスケアコンサルティングの牟田修さん、R&Tメディカルの杉谷孝史さんのそれぞれに税務・継承・廃院のポイントについて御教示いただき、会場及びZoomで101人もの多数の方々に参加していただきました。
開業して28年目になる私ですが、その間のさまざまな出来事が思い浮かびます。当時阪急池田に住んでいて、いつもは何も考えずに商店街を抜けて駅まで行っていたのに、開業した途端「ここの商店街の人たちはどうやって生活しているのかな」と考えるようになりました。開業して初めて「カネやヒトと共に生きている」と実感したのです。
昔NHKの経営者座談会で、ある引越し会社の女性社長が「人生には二通りしかない。『自由な不安定』or『不自由な安定』である」と言っていましたが、その通りだと思いました。
開業すればやりたい勉強はできるし人に足を引っ張られることもありませんが、常に医院の収支は考えなければなりません。新規の開業の場合はお金もかかるし、看護師さんや、接遇や診療報酬の業務に長けた事務の人もそう簡単には見つかりません。
今後も続くであろう社会保障費抑制策の下、既存の医院を継承してソフトランディングするのも選択肢の一つであると思われます。
これからも年に一回は、今回のように具体的でわかりやすい役に立つ企画をし、多くの先生方に参加をしていただきたいと思います。
【宝塚市 澤村 新】