2023年2月25日(2030号) ピックアップニュース
燭心
政府は安全保障環境の悪化を理由に15年安保法を成立させ、昨年12月関連3文書を閣議決定した。「戦争しない国」から「戦争できる国」、さらには「戦争する国」へ。「自分の国は自分で守る」というが「米国の指揮下で」「台湾有事に巻き込まれて日本が戦場になっても」というのはいかがなものか▼敵基地攻撃能力として相手が攻撃着手時点で反撃可能としたため、手を出さなければ安心だった「ハリネズミ」がゲゲゲの鬼太郎のように髪の毛針で攻撃してくる。当然周辺国は日本を仮想敵国に格上げし、戦略を練り直す▼最近は国際的な相互依存関係の強まりを背景に、経済・食糧・エネルギーなどの「総合安全保障」が重視される。現在、日本の食料自給率はカロリーベースで38%、エネルギー自給率は12%で、有事の際にはひとたまりもない▼自給率を100%にすれば「自国のことのみに専念して他国を無視」でき、鎖国や籠城、長期戦が可能となる▼「相互依存」と「自主自立」、どちらが「総合安全保障」に寄与するのか。食料とエネルギーを自給自足し、軍備強化となれば「いよいよやる気だな」と思われても不思議ではない。夫婦間でもパートナーが実家をリフォームしたり、へそくりを貯めだしたら要注意だ▼安全保障の大原則は、日本国民が「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」し、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」ことであろう(空)