2023年3月05日(2031号) ピックアップニュース
2022年度会員意見実態調査結果(6)「診療報酬(2)・歯科」
「歯初診」施設基準「廃止すべき」過半数
歯科診療報酬の大幅引き上げと不合理是正が急務
協会が2年に1度、改定の年に実施している会員意見実態調査。前号で、2022年度調査結果で22年4月の歯科診療報酬改定(改定率+0.29%)に歯科会員の半数以上が「不満」を感じていることを報道した。今回は歯科のその他の項目について掲載する。
歯初診の施設基準届出については、「廃止すべき」が51.6%と過半数で、「現状でよい」は28.7%、「厳しくすべき」は4.1%だった(図1)。
2018年に院内感染対策の施設基準として「歯初診」が導入されて4年が経過したが、そもそも医療法で院内感染対策のための体制を義務付けられており、歯科医療機関は院内感染防止対策を徹底しているため、多くの会員が届出廃止を求めていると思われる。
この歯初診届出医療機関は、初再診料が3点引き上げられたが、この財源としてP基処10点の廃止分が当てられたことについては、「評価できない」が52.5%で、「どちらともいえない」(29.5%)、「評価できる」(7.4%)を大きく上回った。
「金パラ高騰のなかでの具体的な対応(複数回答可)」については、「金パラ」が44.3%、「CAD/CAM冠」が73.0%、「チタン冠」が23.0%、「自費」が17.2%、「銀合金」が13.1%、「義歯」が7.4%という結果となった。
「歯科訪問診療の診療報酬で改善してほしい項目(複数回答可)」は、上位から「時間要件の撤廃」(62.7%)、「同一建物における複数患者の歯科訪問診療料2,3の引き上げ」(45.8%)、「訪問歯科衛生指導料の時間要件と『単一建物』区分の廃止」(44.1%)、「歯援診や在推診など施設基準要件の実態に即した見直し」(28.8%)、「『歯科訪問診療料の注13に規定する基準の施設基準』届出の撤廃」(25.4%)だった(図4)。
歯科訪問診療の不合理な算定要件や施設基準の是正が求められる。
在宅療養支援歯科診療所を届け出ていない会員への設問で「届け出をしていない理由(複数回答可)」は、「歯科訪問診療の回数要件がクリアできない」が24.6%、「届出の要件がよくわからない」20.5%、「歯科訪問診療の依頼がない」14.8%、「届出するつもりがない」13.9%、「歯科衛生士がいない」10.7%、「歯援診届出に必要な研修が受講できていない」7.4%だった(図5)。厳格化・複雑化される要件の弊害が見受けられる。
歯科診療報酬について特に改善してほしい項目は、上位から「初診料・再診料の点数引き上げ」(63.9%)、「基礎的技術料の引き上げ(歯周治療、根管治療、有床義歯など)」(56.6%)、「金パラ『逆ザヤ』解消」(43.4%)、「包括された技術料の復活(P基処、ラバーダム、歯肉息肉除去、補強線、スタディモデル等)」(42.6%)、「クラウン・ブリッジ維持管理料など成功報酬の廃止」(36.9%)、「歯科麻酔薬剤料をすべての処置で算定可能に」(31.2%)となった(図7)。
2022年度診療報酬改定は、新型コロナ禍でさらに厳しくなった歯科医院経営を立て直すために診療報酬の大幅引き上げが求められていたが、改善は限られ歯科医療の充実には全く不十分であったことが、今回の調査結果で裏付けられた。
基本診療料、基礎的技術料の引き上げを初めとする歯科診療報酬の大幅引き上げと、不合理項目の是正が強く求められている。
(おわり)
歯初診の施設基準届出については、「廃止すべき」が51.6%と過半数で、「現状でよい」は28.7%、「厳しくすべき」は4.1%だった(図1)。
2018年に院内感染対策の施設基準として「歯初診」が導入されて4年が経過したが、そもそも医療法で院内感染対策のための体制を義務付けられており、歯科医療機関は院内感染防止対策を徹底しているため、多くの会員が届出廃止を求めていると思われる。
この歯初診届出医療機関は、初再診料が3点引き上げられたが、この財源としてP基処10点の廃止分が当てられたことについては、「評価できない」が52.5%で、「どちらともいえない」(29.5%)、「評価できる」(7.4%)を大きく上回った。
金パラ逆ザヤ問題抜本的解決を
金パラ価格改定方法の変更(変動率に関わらず改定2カ月前までの平均素材価格に応じ年4回の改定)については、「評価できる」が36.1%で最も多かったが、「対応が煩わしい」(27.1%)、「患者の一部負担金に反映しない補助金が良い」(18.9%)、「代替材料を増やしてほしい」(6.6%)、「金属の現物支給等検討してほしい」(4.1%)の合計56.7%が改善を求めていることが明らかになった(図2)。金パラ逆ザヤ問題の抜本的な解決が求められる。「金パラ高騰のなかでの具体的な対応(複数回答可)」については、「金パラ」が44.3%、「CAD/CAM冠」が73.0%、「チタン冠」が23.0%、「自費」が17.2%、「銀合金」が13.1%、「義歯」が7.4%という結果となった。
歯科訪問診療不合理是正の声強く
歯科訪問診療については、「実施しており続ける予定」が44.3%で最も多く、「実施していないし今後も行わない」(25.4%)、「実施していないが要請があれば検討」(24.6%)、「実施しているがやめる予定」(4.1%)と続いた(図3)。「歯科訪問診療の診療報酬で改善してほしい項目(複数回答可)」は、上位から「時間要件の撤廃」(62.7%)、「同一建物における複数患者の歯科訪問診療料2,3の引き上げ」(45.8%)、「訪問歯科衛生指導料の時間要件と『単一建物』区分の廃止」(44.1%)、「歯援診や在推診など施設基準要件の実態に即した見直し」(28.8%)、「『歯科訪問診療料の注13に規定する基準の施設基準』届出の撤廃」(25.4%)だった(図4)。
歯科訪問診療の不合理な算定要件や施設基準の是正が求められる。
在宅療養支援歯科診療所を届け出ていない会員への設問で「届け出をしていない理由(複数回答可)」は、「歯科訪問診療の回数要件がクリアできない」が24.6%、「届出の要件がよくわからない」20.5%、「歯科訪問診療の依頼がない」14.8%、「届出するつもりがない」13.9%、「歯科衛生士がいない」10.7%、「歯援診届出に必要な研修が受講できていない」7.4%だった(図5)。厳格化・複雑化される要件の弊害が見受けられる。
切実な初再診料・基礎的技術料引上げ
今回の改定で、特に影響が大きい項目は、「P基処10点の廃止」(50.0%)、「臼歯部へのCAD/CAMインレーの新設」(39.3%)、「メタルコア加算の廃止」(36.9%)、「初診料・再診料の点数引き上げ」(35.3%)、「『歯初診』新施設基準の外部研修再受講」「SPTⅡが統合され、SPTへのか強診加算はP検査とP画像が出来高となった」がそれぞれ19.7%の順で多かった(図6)。歯科診療報酬について特に改善してほしい項目は、上位から「初診料・再診料の点数引き上げ」(63.9%)、「基礎的技術料の引き上げ(歯周治療、根管治療、有床義歯など)」(56.6%)、「金パラ『逆ザヤ』解消」(43.4%)、「包括された技術料の復活(P基処、ラバーダム、歯肉息肉除去、補強線、スタディモデル等)」(42.6%)、「クラウン・ブリッジ維持管理料など成功報酬の廃止」(36.9%)、「歯科麻酔薬剤料をすべての処置で算定可能に」(31.2%)となった(図7)。
2022年度診療報酬改定は、新型コロナ禍でさらに厳しくなった歯科医院経営を立て直すために診療報酬の大幅引き上げが求められていたが、改善は限られ歯科医療の充実には全く不十分であったことが、今回の調査結果で裏付けられた。
基本診療料、基礎的技術料の引き上げを初めとする歯科診療報酬の大幅引き上げと、不合理項目の是正が強く求められている。
(おわり)