2023年3月25日(2033号) ピックアップニュース
燭心
町家(まちや)の日って、ご存じですか? 3月8日、マーチと、8(や)のごろ合わせで〝まちや〟なのだそうだ。もともと京都から始まった町家を保全する運動だが、全国に少しずつ広がり、毎年この日を中心に各地でイベントが行われている。県下では姫路市が一昨年から参加しているので、見学に行ってきた▼世界遺産・姫路城の北側に広がる野里地区が会場である。バス通りから1本奥に入った旧街道筋は、レトロな雰囲気が残る商店街である。虫籠窓のある建物は古い商家なのか、城下町の歴史を感じさせられる。カフェやフリーマーケットなど、地元の人たちでなかなか賑わっている。普段は見られない町家の中にも今日は入らせてもらえる▼日本各地で、町家がどんどんなくなっている。気が付けば歴史を刻んだ古民家が消え、ビルやマンションに変わっている。空き家通りと化している所も多いと聞く。もう一度古い街並みを生かして、地域を再生しようと頑張っている人たちがいる。古い家の改修や活用だけではなく、町づくりそのものを目指す運動である。それに共鳴して移住してくる若い人たちもいる▼町家巡りをするなかでそんな熱い思いに少しふれることができて、心があったまった気がする。フリマで見つけた鉄瓶と漆器のお椀を買って帰った。きっとこの地域の誰かが大切に使っていたものだろう。少し古びてはいるが、手入れをすれば十分使える。町家と同じだ。さっそく夕食に使ってみた。五感にしみた。(星)