2023年6月05日(2039号) ピックアップニュース
第101回評議員会を開催
軍事費倍増でなく社会保障充実を
西山裕康理事長は開会あいさつで、新型コロナウイルス感染拡大後の3年間の政策の科学的検証が必要であるとともに、「医療機関の負担が軽減されない限り、現場の努力に見合う十分な診療報酬、補助金が必要」「同時に受診抑制を来たす患者窓口負担増への反対にも取り組」んだとして、診療報酬増・窓口負担引き下げの重要性を強調した。
会務報告と方針案について武村義人副理事長が提案。政府のオンライン資格確認義務化・保険証廃止方針に対して、国会議員や省庁への要請・交渉、反対署名、県弁護士会との懇談など運動を重ねてきたこと、物価高に対する医療機関への財政措置を県に要請し実現したこと、第32回反核医師のつどいを30年ぶりに兵庫で開催したことなどを報告し、新年度方針として、軍事費倍増の中止とともに社会保障充実への政策転換を求める世論を高めるために全力を尽くすなどと提案した。
討論では、多彩な支部の研究会活動の報告や支部の働きかけで県立尼崎総合医療センター・淡路医療センターが入会したこと、保険証廃止・オンライン資格確認義務化の問題点や女性医師・歯科医師の会の活動報告などについて、17人から発言があった。
記念講演 ポスト新自由主義の経済を考える
経済思想史が専門の中山教授は、「ポスト新自由主義の経済を考える-身体に向き合う時代へ」と題し講演。70年代以降、世界的に広がった新自由主義について、民営化や規制緩和を推進し自由を強調するが、一般の市民は自己責任が強いられる一方、富裕層や大企業は国家として守られるというのが実態と指摘。
08年頃の金融危機以降、新自由主義は限界を露呈しているとして、経済学者カール・ポランニーの考え方などを引用しながら、COVID-19パンデミックは新自由主義的世界に対して人間の身体に直接発せられた警告と捉えることができるのでないかと分析。
ポスト新自由主義の世界に向けて、各自の身体の声に耳を傾け、国家や金融を人間的な価値観に資するためのものとすることが重要であるとした。