2023年6月15日(2040号) ピックアップニュース
燭心
梅雨の晴れ間、近くの公園を散歩した。昨日の雨に洗われて、新緑がみずみずしい。木漏れ日に鳥の声も軽快だ。じとじとした季節を嫌う人も多いが、慈雨、喜雨と思えば梅雨も決して悪くない▼もっとも近年のケタ外れの豪雨を思うと、のんびりしたことばかりも言ってられない。先日は台風2号の影響もあっての記録的豪雨で、全国で死者・行方不明者7人の被害が出た。線状降水帯という言葉もすっかり定着した感がある。まだ梅雨入りしたばかりだが、今年も災害が起こらぬか気がかりだ▼地球温暖化による気候変動の影響が指摘されている。海面温度の上昇で、水蒸気が増加し積乱雲が発生しやすくなる。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の行った将来予測では、このままでは、今世紀末には各地で起こる1時間50㎜以上の短時間豪雨の頻度が、現在の2倍以上になると予測されている。〝わが亡き後に洪水よ来たれ〟かと思うと憂鬱だ▼マルクスは資本論の中で、「大洪水よ、わが亡きあとに来たれ! これがすべての資本家およびすべての資本家国民のスローガンである」として「それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」と喝破している。まさか150年後の気候変動を予測したわけではなかろうが、企業利益を最優先にする現代の新自由主義社会は、温暖化ストップに向けて動きが鈍い。世界中で声を上げねば、晴れ間は見えてこない。(星)