2023年7月15日(2043号) ピックアップニュース
燭心
先月、政府は異次元の少子化対策として、「こども未来戦略方針」を発表した。少子化傾向を反転できるかのラストチャンスとして、今後3年間を「集中取り組み期間」と位置づけ取り組むという。3兆円超の財源の裏付けなしに進めるそうだ。さすが異次元である▼〝戦略〟と言うが、現政府は一体誰と戦うのか。評判は特に子育て世代から芳しくない。働く女性の6割が期待しないとそっぽを向いているそうだ。上の世代からの昭和的な価値観で、控除や児童手当など現金給付ばかりが重視されているが、子どもを産みたくなる環境をどうつくるか、その延長上に子どものウェルビーイングが実現するという発想が不可欠だ。少子化が問題視され数十年、なぜこんなにも対応が遅いのだろう▼反対に拙速に進める政策がある。2兆円超のポイントを餌に普及を図るマイナンバーカード。福島の大惨事を忘れたかのような原発推進。防衛費という名の軍事費の増額。頼まれもしないのに閣議決定のみで足早に現政権は進める。巨額の利権が絡んでおり、票に繋がるからだ▼利権を漁る人々を〝政治屋〟とあえて表現したい。われわれは〝政治屋〟と〝政治家〟を峻別する目を養わなければならない。選挙は人気投票ではない▼今一度〝政治家〟に投票しよう。「ミュニシパリズム(地域主権主義)」を掲げ、実践する岸本聡子杉並区長の話を保団連夏季セミナーで聞いて強く感じた。さもなくばこの程度の国民にこの程度の政治と言われ続ける。(蓮)