2023年7月15日(2043号) ピックアップニュース
参加記 近畿ブロック公害環境対策学習会
PFAS(有機フッ素化合物)一刻も早く対策を
副理事長 加藤 擁一
最近、PFAS(ピーファス)という聞き慣れない言葉が、よく報道されている。日本各地の井戸や水道水から検出されていて、汚染の広がりが心配される問題である。小泉昭夫先生からお話をうかがった。
PFASとは、「有機フッ素化合物」の総称で、水や油をはじき、熱に強い特徴があり、自然界ではほぼ分解されない。フライパンや衣服から、消火剤まで、幅広く使用されてきた。環境中や人体に長く残るため、「永遠の化学物質」とも呼ばれている。人体に取り込まれて蓄積すると、腎臓がんなどの健康被害が指摘されている。
私がこの問題に関心を持ったきっかけは、昨年上映された映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」である。1998年にアメリカのウェストバージニア州で起こった実話に基づく社会派のリーガルドラマで、デュポン社が引き起こしたPFASによる環境汚染に対して闘う弁護士と住民たちの話だった。企業はあらゆる手段を使って事実を隠蔽しようとする。それをあばくスリリングな論争が印象に残っている。
わが国でも米軍の沖縄嘉手納基地や東京横田基地の周辺地域から高濃度のPFASが検出され、泡消火剤が汚染源として疑われている。泡消火剤は訓練でも使用されており、大きな汚染源の一つである。
大阪では、摂津市のダイキン工場周辺で汚染が見つかっており、今回の学習会に来ていただいた市民団体の方々からも、状況をお話しいただいた。
アメリカでは、前述の住民運動の高まりの下で、住民の健康調査が行われ、その疫学データに基づいて、飲料水1リットル当たり4ナノグラムという厳しい法規制基準案を今年3月に発表した。日本では、50ナノグラムの暫定指針値が設定されているが、法的拘束力を伴う規制ではなく、世界からも遅れた状態である。一刻も早く、国に対策を講じるよう声を上げていく必要を感じた。