兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年9月15日(2048号) ピックアップニュース

燭心

 先日生まれて初めての経験をした。仕事帰り電車で座席を譲られたのだ。そこが優先座席であったこともあったのだが、東南アジア出身と思われる若い女性、次の駅で降車するのかと思いきや「どうぞ」と。最初?と思い、座席を譲られたと分かるまで数秒かかった。感謝と同時に何か複雑な思い▼9月18日は敬老の日、発端は兵庫県多可群野間谷村(現在の多可町八千代区)で1947年に始まった。当時は戦後の混乱期、55歳以上の人を集め敬老会が催されたという。その後66年に国民の祝日「敬老の日」と制定。〝多年にわたり社会に貢献してきた老人を敬愛し、長寿を祝う事〟を趣旨としているという▼現在の老人は本当に敬愛されているか? 新聞で最近目立つのは、高齢者に対する保険だ。病気や介護状態になった時や死亡時の保険。特に〝85歳まで入れる〟には驚かされる。テレビでは安価な葬儀のコマーシャルも目立つ。また多くの時間帯で高齢者相手のサプリの㎝、おおよそ毎月3~5千円の商品、必ず「今だけ値引き」で財布を狙う▼一方で高齢者の就労率は65歳以上全体で25%、65~69歳に至っては約半数にも及ぶ。年金だけでは生活できない現実だ。追い打ちをかけるように医療、介護の改悪負担増が押し寄せる▼「敬老」の具体策は年金だけで十分に生活が満喫できる制度の構築。お金の心配なく医療・介護を受けることのできる、あたたかい社会保障と豊かなコミュニケーションで結ばれた地域づくりだ。(無)
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