兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年9月15日(2048号) ピックアップニュース

九条の会・兵庫県医師の会が市民公開企画
「政治」が締め付ける「教育」
映画「教育と愛国」上映会&斉加監督トーク

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監督を務めた毎日放送の斉加尚代ディレクター(上)が会場いっぱいの参加者からの質問に答えた

 「教育を受ける権利」は今、どうなっているのか--。協会も運営に協力する九条の会・兵庫県医師の会は8月27日、協会会議室で、市民公開企画「映画『教育と愛国』上映会&斉加監督トーク」を開催した。医師・歯科医師をはじめ多くの市民ら80人が参加した。

 映画『教育と愛国』は戦前の反省から、政治と常に一線を画してきた戦後の教育が、大きく変わりつつある実態を描いたドキュメンタリー映画。2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改変され、「愛国心」条項が盛り込まれたのを皮切りに、「教育改革」「教育再生」の名の下、教科書検定制度が力を増していき、教育現場を抑圧していく様を、丹念な取材で記録している。
 監督を務めた大阪・毎日放送の斉加尚代ディレクターは、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、新しく採用した教科書を使う学校や、従軍慰安婦問題など加害の歴史を教える教師・研究する大学教授へのバッシング、さらには日本学術会議任命拒否問題などにも触れ、現在の「教育と政治」の関係を描き出した。
 映画上映後の斉加監督トークは、藤末衛副議長がコーディネーターとして進行した。
 参加者からの、日本の過去の侵略・加害の事実をなかったと思い込みたい人が増えているのではないかとの質問に、斉加監督は「現場の先生たちによると、歴史教科書が最も自由で、加害の歴史についての記述が豊富だったのは1997年で、この年は日本のGDPが頂点を極めた年だ。それ以来、日本の経済は右肩下がりで、同時に『美しい国』『素晴らしい国』という政治的運動が盛り上がっていく。自信をなくしたために、耳あたりの良い言葉に吸い寄せられていくという状況が生まれたのではないかと思う」と経済と右派的思想の関係を解き明かした。
 参加した現役の教員からは選挙の前になると職員会議で服務規定が配られて政治的中立性が過度に強調されるとの発言や、ジェンダーやLGBTQについてなど若い世代は非常に優れた人権感覚を持っているが、そうした感覚を持った国民が増えるのを政府は良しとしていないのではないかとの意見が出された。
 西山裕康理事長が謝辞として「アメリカの言いなりに兵器を購入して、一方で多くの子どもが3食食べられず、子ども食堂に頼っている。こうした政治を行っている政治家こそ愛国心や教育が必要だ。若い世代を戦前、戦中の世代にしない責任を私たちの世代は負っている。その自覚を持って活動をしていこう」と呼びかけた。
九条の会 アピールに賛同を
 九条の会・兵庫県医師の会は、「9条を持つ日本政府の責務は、国際社会の分断を修復し、ロシアの侵略に反対し、アジアの紛争を武力によらないで解決する枠組みを作るために各国に働きかけること」などとして、日本国憲法を守り、平和外交を実現することなどを呼びかけるアピールへの賛同を呼びかけている。

賛同は、電話078-393-1807、arimoto@doc-net.or.jpまで
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