2023年9月25日(2049号) ピックアップニュース
近畿反核医師懇談会
核兵器にお金を貸すな-Don't Bank On the Bomb-
キャンペーンで厚労省・金融機関に働きかけ
近畿各府県の保険医協会、民主医療機関連合会、反核医師の会等でつくる近畿反核医師懇談会は、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)とその中心メンバーであるスージー・スナイダー氏(NGO・PAX核軍縮プログラムマネジャー)らが取り組んでいるキャンペーン〝Don't Bank On the Bomb(DBOB/核兵器にお金を貸すな)〟に積極的に取り組んでいる。
これについて、近畿反核医師懇談会は、厚生労働省に、事実かどうか確認するとともに、核兵器製造企業への投融資を反社会的勢力や「人身売買等の人権侵害」への関与が認められる企業等と同じく排除することなどを求め、9月7日に懇談。近畿反核医師懇談会から武村義人先生(兵庫協会副理事長)・松井和夫先生(和歌山協会理事)が参加し、厚労省は厚生労働省年金局資産運用課が対応した。
厚労省は、PAX指摘の数字と同省が公表している数値がおおむね一致しているのは間違いないとした上で、反社会的勢力や人権侵害に関連する企業等への投資は国際条約や国内の法令・条例で禁止されているが、そうでなければ個別企業への投融資を排除するのは困難と回答。
核兵器禁止条約で核兵器は悪とされているという近畿反核医師懇談会の指摘に対し、「同条約を日本は批准しておらず、国民の議論が積み重なり、批准されれば、法令に従って除外可能となる」と説明した。
国際NGO評価に日本の金融機関で初めてりそながランクイン
ICANとPAXは、核兵器製造企業に投融資しない金融機関を評価するレポートを例年発行しており、7月28日に最新レポートが発表され、日本のりそなホールディングス(HD)が、日本の金融機関として初めて評価を受けた。
レポートは、りそなHDを、核兵器製造企業とのあらゆる金融的関与を行わないという包括的な方針はとっていないものの、核兵器製造業企業を投融資対象から除外する措置をとっているとして、〝Runner's-Up〟(次点)として評価している。同団体の評価には最高の「栄誉の殿堂」と「次点」のランクがある。
近畿反核医師懇談会は、この認定を受け、これを評価する声明を同日発表。「りそなグループが今後あらゆる投融資から核兵器生産企業を完全に除外し、一日も早く『栄誉の殿堂』入りするよう努めることを求め」「他の日本の全ての金融機関には、りそなグループに続いてランクインできるよう、核兵器製造企業への投融資をしないようポリシーを改めることを求め」るなどとコメントしている。
近畿反核医師懇談会から武村義人先生・松井和夫先生が、りそなHDからグループ戦略部サステナビリティ推進室の吉本圭吾室長ら3人が参加した。
懇談では、近畿反核医師懇談会より、PAXの最新レポートでりそなが次点にラインクインされたことについて、活動の励みになると伝えるとともに、「栄誉の殿堂」入りにはまだ核製造企業への投資の抜け道があるので、できるだけ早く改善してほしいこと、ICANなどが呼びかける核兵器製造企業への投融資をしないことなどを宣言するオープンステートメント(公開声明)に加わってほしいことを伝えた。
抜け道とは、「第三者のために行う投資、一任契約、パッシブ運用ファンド、および外部の資産運用会社が運用するアクティブ運用ファンドには適用されない」とPAXから指摘されている点。
これに対し、吉本氏は「栄えあるご評価に対して、感謝申し上げたい。改めて身の引き締まる思いというのが率直なところ」とし、PAXからの指摘については「訴求調査を社内で行い、パッシブ運用やアセットオーナー様から個別に運用ガイドライン等の指定があった場合には、排除することに限界があり、業界全体で輪を広げていかないとなかなか実現しないという問題がある」とした。
近畿反核医師懇談会は、りそなホールディングスの傘下であるりそなアセットマネジメントが今年1月に発表した「特定の兵器製造企業の除外方針」が、NPTで核保有国と認められた国の国内企業は方針から除外するとしていることについて改善を要請。吉本氏は、意見をアセットマネジメントに伝えるとした。
公開声明への賛同については「趣旨には賛成できるが、核兵器のない世界を実現していくために、保管技術などへの投融資をどう考えるかなど、社会でまだ検討が必要な状況」との回答だったため、近畿反核医師懇談会から「一部留保のコメントもできると思うので、ぜひ賛同の検討を」と呼びかけた。
厚労省 GPIFの核製造企業への投資認める
ICANは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が3879.8万ドルを核兵器製造企業に投融資していると指摘している。これについて、近畿反核医師懇談会は、厚生労働省に、事実かどうか確認するとともに、核兵器製造企業への投融資を反社会的勢力や「人身売買等の人権侵害」への関与が認められる企業等と同じく排除することなどを求め、9月7日に懇談。近畿反核医師懇談会から武村義人先生(兵庫協会副理事長)・松井和夫先生(和歌山協会理事)が参加し、厚労省は厚生労働省年金局資産運用課が対応した。
厚労省は、PAX指摘の数字と同省が公表している数値がおおむね一致しているのは間違いないとした上で、反社会的勢力や人権侵害に関連する企業等への投資は国際条約や国内の法令・条例で禁止されているが、そうでなければ個別企業への投融資を排除するのは困難と回答。
核兵器禁止条約で核兵器は悪とされているという近畿反核医師懇談会の指摘に対し、「同条約を日本は批准しておらず、国民の議論が積み重なり、批准されれば、法令に従って除外可能となる」と説明した。
国際NGO評価に日本の金融機関で初めてりそながランクイン
歓迎の声明発表
ICANとPAXは、核兵器製造企業に投融資しない金融機関を評価するレポートを例年発行しており、7月28日に最新レポートが発表され、日本のりそなホールディングス(HD)が、日本の金融機関として初めて評価を受けた。
レポートは、りそなHDを、核兵器製造企業とのあらゆる金融的関与を行わないという包括的な方針はとっていないものの、核兵器製造業企業を投融資対象から除外する措置をとっているとして、〝Runner's-Up〟(次点)として評価している。同団体の評価には最高の「栄誉の殿堂」と「次点」のランクがある。
近畿反核医師懇談会は、この認定を受け、これを評価する声明を同日発表。「りそなグループが今後あらゆる投融資から核兵器生産企業を完全に除外し、一日も早く『栄誉の殿堂』入りするよう努めることを求め」「他の日本の全ての金融機関には、りそなグループに続いてランクインできるよう、核兵器製造企業への投融資をしないようポリシーを改めることを求め」るなどとコメントしている。
認定受けりそなHDと懇談
このICAN・PAXによる認定を受け、近畿反核医師懇談会はりそなHDと9月7日に懇談を実施した。近畿反核医師懇談会から武村義人先生・松井和夫先生が、りそなHDからグループ戦略部サステナビリティ推進室の吉本圭吾室長ら3人が参加した。
懇談では、近畿反核医師懇談会より、PAXの最新レポートでりそなが次点にラインクインされたことについて、活動の励みになると伝えるとともに、「栄誉の殿堂」入りにはまだ核製造企業への投資の抜け道があるので、できるだけ早く改善してほしいこと、ICANなどが呼びかける核兵器製造企業への投融資をしないことなどを宣言するオープンステートメント(公開声明)に加わってほしいことを伝えた。
抜け道とは、「第三者のために行う投資、一任契約、パッシブ運用ファンド、および外部の資産運用会社が運用するアクティブ運用ファンドには適用されない」とPAXから指摘されている点。
これに対し、吉本氏は「栄えあるご評価に対して、感謝申し上げたい。改めて身の引き締まる思いというのが率直なところ」とし、PAXからの指摘については「訴求調査を社内で行い、パッシブ運用やアセットオーナー様から個別に運用ガイドライン等の指定があった場合には、排除することに限界があり、業界全体で輪を広げていかないとなかなか実現しないという問題がある」とした。
近畿反核医師懇談会は、りそなホールディングスの傘下であるりそなアセットマネジメントが今年1月に発表した「特定の兵器製造企業の除外方針」が、NPTで核保有国と認められた国の国内企業は方針から除外するとしていることについて改善を要請。吉本氏は、意見をアセットマネジメントに伝えるとした。
公開声明への賛同については「趣旨には賛成できるが、核兵器のない世界を実現していくために、保管技術などへの投融資をどう考えるかなど、社会でまだ検討が必要な状況」との回答だったため、近畿反核医師懇談会から「一部留保のコメントもできると思うので、ぜひ賛同の検討を」と呼びかけた。