兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年11月05日(2053号) ピックアップニュース

燭心

 今から約2500年前、中国春秋時代に「狙公」という猿回しが多くの猿を飼っていた。猿との対話ができ、お互いに気持ちを理解していたらしい。ところが急に貧しくなり、餌を減らしたいと思いついた。猿たちがなつかなくなることを心配し、猿を何とか騙そうと「お前たちに与えるとちの実を朝三つ、夕方四つにしたいと思うがどうか」と言った。猿たちは皆怒った。そこですぐ「では朝四つ、夕方三つではどうか」と言い直すと猿たちは喜んで納得した。列子による「朝三暮四」という有名な故事▼「狙公」を岸田総理、腹が立つが猿を国民に当てはめると、サラリーマンの所得税を減税して所得を増やすというが、社会保険料増や他の増税で手取りはほとんど変わらない。財務省の企む狡猾な「朝三暮四」の世界だ▼人口では日本の3分の2、日本と同様に資源の少ない敗戦国ドイツにGDPで抜かれる見込みという。輸出大企業だけを優先する安易な円安によるアベノミクスの失敗を認めず、国民の反対が生じがたいと思われるタバコを増税して税収を上げようとしている▼タバコによる健康被害は明白である。歴史的に独占企業である専売公社の巨大な収入は軍備調達に使われた。〝日本たばこ産業〟と名前は変わったが民間企業とは名ばかりで、筆頭株主は財務大臣であり、多くの天下り役人を受け入れ、実態は昔と変わりない▼国民は猿ではない。これ以上、たぶらかすな!est res publica res populi.国家は国民のものである!(鼻)
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