2024年2月05日(2060号) ピックアップニュース
能登へ-- 今後の被災地へ-- 「阪神・淡路」の経験 活かそう
阪神・淡路大震災29年メモリアル集会
協会も参加する阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議(復興県民会議)は「29年メモリアル集会」を長田区内で開催し、171人が参加した。兵庫協会から西山裕康理事長、武村義人副理事長、川西敏雄参与、松岡泰夫評議員が参加した。
集会では、能登半島地震被災者の「震災関連死」を防ぐためトイレ・食事・ベッドなどの環境整備、医療費窓口負担免除などを政府に求めるとともに、ハコモノ建設中心の「創造的復興」ではなく、「暮らしの再建」のため被災者生活再建支援法の支給額の増額や対象拡大などを求めるたたかいを、大きく全国に広げることを呼びかけるアピールを採択。
立命館大学の安斎育郎名誉教授が「13年目のフクシマ」をテーマに記念講演した。
阪神・淡路大震災29年メモリアル集会
地震大国日本で危険すぎる原発
メモリアル集会は「深刻化する気候危機と頻発する水害 被災者生活再建支援制度の抜本的拡充を」をテーマに開催。
復興県民会議の畦布和隆代表委員があいさつ。「阪神・淡路大震災以来、震度7以上の震災は7回目。しかし、29年前から避難所は改善されておらず、国際基準の難民キャンプ以下と指摘されている。災害を人権問題として捉え、関連死を防ぐため、真剣に国・行政に改善を迫っていかなければならない」「被災者生活再建支援法の支援金の上限を300万円から500万円へ引き上げ、対象を拡充するよう要求していく必要がある」と政府の災害対応の改善を求めるとともに、「自然災害が起こることは止められないが、戦争は人間が起こす。地球環境・人類生存のために止めるよう訴えていくことも重要」と強調した。
来賓として穀田恵二衆議院議員(共産)は「被災者生活再建支援法など、日本の災害に対する国の姿勢を変えてきたのは故・合志至誠協会元理事長をはじめとする、阪神・淡路大震災被災者の皆さんの運動だ」などとあいさつした。
記念講演に立った、立命館大学名誉教授の安斎育郎先生は、能登半島地震の発生を受け、地震に対する原発の脆弱性を中心として解説。
被災した志賀原発は、敷地内の断層が活断層かどうかが長く焦点になり、原子力規制委員会が活断層でないと判断した原発だったが、今回の地震で想定を超える断層運動が観測され判断が変更される可能性があると指摘。原発内では、燃料プールの水が大量に溢れ、冷却ポンプが一時的に停止し、配管の故障による大量の油漏れ等が起き、また、モニタリングポストの異常や変圧器の故障など、深刻な被害が起きたと紹介。
安斎氏は、原発建設に反対していながら事故が止められなかった悔恨があると語り、福島第一原発事故の損害が100兆円以上という現実を前に、原発に頼り続けるのかと参加者に問うた。
また、「台風7号による香美町の豪雨災害」について香美町議会議員の谷口眞治氏が報告。昨年8月15日の台風7号により同町が大きな被害を受けたが、被災者生活再建支援法では一市町10戸以上の全壊世帯が要件のため、対象にならないなど課題があると指摘した。
長田メモリアルウォーク
コミュニティに根差した街づくりの重要さを実感
1月17日には、協会神戸支部も参加する震災復興長田の会主催の「ひと・街・くらし 1・17長田メモリアル集会&ウォーク」も長田区内で開催され、45人が参加した。
参加者は森本真・神戸市議(共産)のガイドで、震災時火災の被害が大きかった再開発地域を中心に長田の街を歩き、震災当時を振り返るとともに、街の現状を見学した。
大正筋商店街にある「お茶の味萬」では、店主で震災語り部の伊東正和さんが当時の被害を写真とともに紹介。
震災の被害とその後の高齢化が進む中、住み慣れた地域で生活し続けることを望む住民にとって、商店街ならではのコミュニティが重要だと訴えた。
ウォーク後、中越地震で被災した山古志村の住民と神戸の学生たちが共同で作成した紙芝居が上演され、学生たちは災害の経験を継承していく重要性を感じていると語った。