2024年3月25日(2065号) ピックアップニュース
燭心
2年に一度の保険点数改定の年。保団連の冊子・歯科『改定の要点と解説』が完成した。全体では6年連続マイナス改定である上、改定内容も複雑怪奇で理解するのに時間がかかる▼まず「ベースアップ評価料」。基本診療料の大幅プラス改定なら、言われなくても賃上げして人材確保したいところであるが、ざっと計算して、在宅だけでも数万円のマイナス。この改定でどう賃上げすれば良いのかと頭を抱える▼ご丁寧に、厚労省が「賃上げしたら基本診療料が何点プラスになりますよ」と判定ソフトも無料で提供してくれる。しかし、この点数は必ず賃上げに使わなければならず、定期的に報告も必要だ。しかも賃上げ相当分が明細書に表記される。患者さんとの分断か▼賃上げしなければ「そういう改定だったはず」と従業員との間に溝ができる。補綴関連もわずかにプラス改定となった。厚労省は技工士の賃金引き上げ分という。しかし、そもそもの評価が低すぎる▼10月には患者さんが先発品を望めばジェネリックとの差額の4分の1が徴収されることになるそうだ。70年代に「歯科110番(歯科医療告発運動)」で歯科の差額徴収に国民が「NO」を突きつけたのに、歯科の金属差額徴収の復活も危惧される状況だ。今回の金属冠の補管外しがその布石とも取れる▼国民、歯科医師、従業員、誰にとってもひどい改定である。政権交代しなければ日本の保険医療、なかでも歯科医療は死んでしまう。酒を飲む気にもなれない。(酔)