2024年5月15日(2069号) ピックアップニュース
燭心
集団的自衛権行使、安保法制を具体化する「安保3文書」改定から1年半、敵基地攻撃能力の保有、軍事費倍増、殺傷兵器の輸出解禁など、歴代政権が憲法に基づき堅持してきた「平和国家の理念」の礎を、閣議決定という形で崩そうとする現政権の暴挙を、見過ごすことはできない▼4月の日米首脳会談では、米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化が画策された。米軍主導の「ミサイル防衛」において、「シームレスな統合」のため「主権の一部を切り離す」という構想もあり、その厳密な解釈を含め、政府は国民へ説明責任を果たすべきである▼今年度の診療報酬改定では、軍拡のため医療費を削減するという政権の構想を、現実化しかねない布石が盛り込まれていることに注意したい。人間のプライバシーである「身体・精神に関わる機密」を「医療の効率化」という名目で開示することで、生じかねない責任の所在についても慎重な議論が必要である▼いま日本に求められる役割は、軍拡による世界の分断、世代間のディスコミュニケーションという「新たな冷戦」に対峙するため、憲法9条を生かした平和外交に加え、多様なプラットフォームを通じた交流により、「平和国家の堅持」という国民的合意を示すことであると考える▼「一つの合意」を示すこと、そのためには過去の経緯や将来の理念の違いを問わず、ほんの一瞬でも相互にリスペクトすることが大切である-「別れに涙はふさわしくない、また会った時に恥ずかしいからね」(眞)