兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年5月25日(2070号) ピックアップニュース

医科 新点数Q&A〈その3〉

※厚労省疑義解釈「その1」(2024年3月28日)、「その2」(4月12日)、「その3」(4月26日)、「その4」(5月10日)保団連『新点数・介護報酬Q&A』より抜粋・改編
初・再診料
〈医療DX推進体制整備加算〉
Q1 「オンライン資格確認等システムの活用により、患者の薬剤情報、特定健診情報等(以下「診療情報等」)を診療を行う診察室、手術室又は処置室等(以下「診察室等」)において、医師等が閲覧又は活用できる体制を有していること」とあるが、具体的にどのような体制を有していればよいか。
A1 オンライン資格確認等システムを通じて取得された診療情報等について、電子カルテシステム等により医師等が閲覧または活用できる体制あるいはその他の方法により診察室等において医師等が診療情報等を閲覧または活用できる体制を有している必要があり、単にオンライン資格確認等システムにより診療情報等を取得できる体制のみを有している場合は該当しません。
Q2 A1の体制について、受付で診療情報等を印刷したものを、診察室等で活用する体制の場合でも該当するのか。
A2 該当します。
Q3 施設基準のうち経過措置、適用時期が設けられている事項は何か。
A3 以下の通りです。
①マイナ保険証の利用率が一定割合以上である(2024年10月1日から適用)。
②電子処方箋を発行する体制を有している(経過措置:2025年3月31日まで)。
③電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有している(経過措置:2025年9月30日まで)。
④院内掲示事項について2025年6月1日以降は、原則として、ウェブサイトにも掲載する。なお、自ら管理するホームページ等を有しない場合については、ウェブサイトへの掲載は不要。
Q4 A3の施設基準①~③は、それぞれ経過措置、適用時期の時期が異なっているが、それぞれの時期までに届出の出し直しが必要なのか。
A4 不要です。なお、届出の様式1の6において、電子処方箋については導入予定時期を記載することとなっていますが、未定または空欄であっても差し支えありません。
Q5 A3の通り、経過措置等のある施設基準があるため、経過措置終了までは届出をしなくても算定できるのか。
A5 算定できません。経過措置を除く施設基準を満たして届出を行います。
Q6 届出をした場合、経過措置等がある施設基準について経過措置期限までに準備をする予定であれば、経過措置終了までは加算が算定できるのか。
A6 算定できます。
Q7 「マイナ保険証の利用率が一定割合以上である」とあるが、何割以上なのか。
A7 利用率の割合は今後示される予定です。
Q8 「電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制」とは何か。
A8 厚労省が医療DXの中で整備をすすめている以下のサービスを含む仕組みのことをいいます。2025年度に運用開始が予定されています。
①文書情報を医療機関等が電子上で送受信できるサービス
②全国の医療機関等で患者の電子カルテ情報(6情報)を閲覧できるサービス
③本人等が、自身の電子カルテ情報(6情報)を閲覧・活用できるサービス
 なお、6情報とは「傷病名」「アレルギー」「感染症」「薬剤禁忌」「検査(救急、生活習慣病)」「処方(処方は文書抽出のみ)」をいいます。
Q9 院内掲示事項として、どのような内容が設けられたのか。
A9 以下の①~③です。
①診察室等において、オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施している。
②マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて医療を提供できるよう取り組んでいる。
③電子処方箋の発行(経過措置:2025年3月31日まで)および電子カルテ情報共有サービス(経過措置:2025年9月30日まで)などの医療DXにかかる取組を実施している。
Q10 A9の①~③の事項は別々に掲示する必要があるか。
A10 まとめて掲示しても差し支えありません。
〈地域包括診療加算〉
Q11 施設基準が変更されたが、届出の出し直しは必要か。
A11 必要です。2024年10月1日以降算定する場合は、それまでに届け出てください。
Q12 すでに地域包括診療加算を届け出ている医療機関における慢性疾患の指導に係る適切な研修の2年毎の届出について、新型コロナウイルス感染症に係る施設基準の特例の取扱いが、2025年4月5日で終了となるが、それまでに通算20時間以上の研修を修了した上で、届出を行う必要があるか。
A12 その通りです。
〈明細書発行体制等加算〉
Q13 発行状況に関する院内掲示について、2025年6月1日以降は、原則としてウェブサイトに掲載することとされているが、自ら管理するホームページ等を有しない場合、ウェブサイトへの掲載は不要か。
A13 不要です。
投薬
〈貼付剤63枚制限の対象外となる薬剤〉
Q14 1処方につき63枚を超えて貼付剤を投薬する際に処方箋およびレセプトに記載が必要となるが、貼付剤の枚数を数えるときに対象外となるものはなにか。
A14 貼付剤のうち以下のものは枚数制限の対象外です。
①鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する麻薬または向精神薬であるもの
②鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する専ら皮膚疾患に用いるもの
③各種がんに対する鎮痛目的で用いるもの
検査
〈コロナ検査〉
Q15 月初に「SARS-CoV-2抗原定性」を行い陰性だった患者が、月末に再度新型コロナの疑いで来院したため改めて「SARS-CoV-2抗原定性」を行うなど、一連でない治療期間において同一の検査をさらに1回算定する場合、レセプトの「摘要」欄に医学的根拠の記載は必要か。
A15 不要です。一連の治療期間においてさらに1回算定する場合のみ医学的根拠を記載します。
Q16 初回検査時に抗原定性を行い陰性で、2回目の検査時に核酸検出を行うなど、初回と2回目で別々の検査を実施した場合であっても、2回目に行った検査については医学的根拠の記載が必要となるのか。
A16 不要です。同一の検査をさらに1回算定した場合のみ、医学的根拠を記載します。
その他
〈ベースアップ評価料〉
Q17 新設した医療機関において、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)の届出を行うに当たって、対象職員に対する給与の支払い実績は必要か。
A17 必要です。ベースアップ評価料の種類に応じて、給与の支払い実績として必要な期間は以下の通りです。
 ○外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)については、届出前の最低1月における給与の支払い実績が必要。
 ○外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)については、届出様式における「前年3月~2月」「前年6月~5月」「前年9月~8月」「前年12月~11月」とあるのは、それぞれ「前年12月~2月」「3月~5月」「6月~8月」「9月~11月」と読み替え、当該期間の給与の支払い実績が必要。
Q18 ベースアップ評価料による収入を対象職員の賃上げに用いる場合、例えば現行の賃金水準が低い職員・職種に重点的に配分するなど、対象職員ごとに賃金改善額に差をつけてよいか。
A18 差し支えありません。
Q19 ベースアップ評価料の届出および賃金改善計画書もしくは賃金改善実績報告書の作成を行うに当たり、対象職員の給与総額に法定福利費等の事業主負担分を含めて計上するに当たって、法定福利費が必要な対象職員の給与総額に16.5%(事業主負担相当額)を含めて計上してもよいか。
A19 差し支えありません。
Q20 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の施設基準において、2024年度に対象職員の基本給等を2023年度と比較して2.5%以上引き上げ、2025年度に対象職員の基本給等を2023年度と比較して4.5%以上引き上げた場合については、40歳未満の勤務医、事務職員等の当該医療機関に勤務する職員の賃金(役員報酬を除く)の改善(定期昇給によるものを除く)を実績に含めることができることとされているが、どの時点から40歳未満の勤務医、事務職員等の賃金の改善を行うことができるのか。
A20 2024年度に対象職員の基本給等を2023年度と比較して2.5%以上引き上げた月または2025年度に対象職員の基本給等を2023年度と比較して4.5%以上引き上げた月以降に可能となります。具体的には、以下の時点以降から40歳未満の勤務医、事務職員等の賃金の改善を行うことが考えられます。
①2024年度において、「賃金改善計画書」の「Ⅳ.対象職員(全体)の基本給等に係る事項」に示す「(19)ベア等による賃金増率」で算出される値を2.5%以上として、当該計画書を地方厚生局長に届け出た上で、算定を開始した月。
②患者数等の変動等により当該評価料による収入が、「賃金改善計画書」において予定していた額を上回った場合において、ベースアップ評価料を算定した月まで遡及して、対象職員の基本給等を2023年度と比較して2024年度に2.5%以上引き上げ、2025年度に4.5%以上引き上げた時点。なお、2024年4月より賃金の改善を行った保険医療機関については、2024年4月以降の賃金の改善分についても、当該評価料による賃金改善の実績の対象に含めても構いません。
Q21 6月1日から算定するためには、いつまでに届出が必要か。
A21 2024年6月1日からの算定に係る「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」の届出については、2024年6月21日までに届出を受理した場合に、同月1日から算定できます。
 なお、2024年6月1日からの算定に係る「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」を含む他の施設基準の届出については、2024年6月3日までに届出を受理した場合に、同月1日から算定できます。
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