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兵庫保険医新聞

2024年6月15日(2072号) ピックアップニュース

大樹生命が核兵器製造企業への投融資禁止を表明
保団連・近畿反核医師懇談会が要請

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懇談する大樹生命(右)と保団連・近畿反核医師懇談会のメンバー(左)

 大樹生命は4月、ESG投資方針の一環として、核兵器の製造を行っている企業には投融資を行わないことを発表した。
 同社は全国保険医団体連合会(保団連)の保険医年金の事務幹事並びに各保険医協会・グループ保険の共同受託会社であることから、保団連および近畿各府県の協会でつくる近畿反核医師懇談会の関係役員・事務局が2月28日、大樹生命本社で懇談。核兵器製造企業への投融資を行わないよう申し入れていた。
 今回の発表は、同社がこの間検討していたもので、「生命保険事業の使命や公共性に鑑み、クラスター弾や生物兵器、対人地雷、化学兵器、核兵器の製造を行っている企業に対する投融資を禁止」するという内容。
 「核兵器製造企業への投融資禁止」を明確に表明するのは、生命保険会社としては日本生命に続いて2社目。保団連・近畿反核医師懇談会では先に同様の方針を発表した日本生命とも昨年11月に懇談を行っていた。
 2月28日に行った懇談には、大樹生命から中村寛・運用統括部長、勅使河原雅・ESG推進担当室長、山本敬太・公共・広域法人営業部長、保団連・近畿反核医師懇談会から松井和夫・和歌山協会理事、中村新太郎・大阪歯科協会理事、小林登喜生・保団連事務局次長、藤田誠治・兵庫協会事務局長、山本正剛・大阪歯科協会事務局員が参加した。
 保団連・近畿反核医師懇談会からは、団体として取り組んでいる、核兵器製造企業への投融資を行わないことを求めるキャンペーン"Don't Bank On the Bomb"(核兵器にお金を貸すな、以下DBOB)の趣旨を大樹生命に説明。
 ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)とイタリアの投資ファンド・エティカファンドが呼びかけている声明「核兵器禁止条約に関する投資家による公開声明」への賛同も要請した。この声明は、全ての国が核兵器禁止条約に参加することを奨励し、投資家に核兵器製造企業に投融資しないことを求める内容となっている。
 その上で保団連・近畿反核医師懇談会は、保険医年金を通じて、全国の会員の多大な資金を大樹生命に預けていることからも、核兵器製造企業に投融資しない方針を明確にすることが、保険医の中での大樹生命の評価を高めることも強調した。
 大樹生命の中村運用統轄部長は「日本生命とも連携して投資方針の見直しに着手している。クラスター爆弾のように、核兵器を非人道的兵器に位置づけて、投融資禁止の検討を社内ですすめている。生保業界の投融資ポリシーからも、同様の趣旨が読み取れるので、当社として独自にそうした方針を持てるよう検討中である」とコメントしており、4月の投融資禁止方針発表につながった。
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