兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年6月15日(2072号) ピックアップニュース

国会・厚労省への要請行動
強引なマイナ保険証誘導ストップ
不合理な改定内容の是正求める 日弁連も賛同し集会

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国会議事堂に向け、保険証廃止の中止を訴える白岩副理事長(左2人目)(5月26日)

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国会議事堂に向け、保険証廃止の中止を訴える白岩副理事長(左2人目)(5月26日) 面会に応じた末松(①中央)・井坂(②右)・桜井(③左)・宮本(④右2人目)各国会議員

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福島みずほ参議院議員(⑤右)・大石あきこ衆議院議員(⑥左2人目)に要請

 診療報酬改定の不合理は改善を、保険証廃止は中止を--。保団連・協会は5月23日と6月6日、国会要請行動・厚生労働省交渉を実施。協会から武村義人・森岡芳雄・白岩一心各副理事長、川西敏雄参与が参加し、自民・立憲・維新・共産・れいわ・社民各党の国会議員と面談した。

 要請では、マイナ保険証の利用率が5%程度に低迷しているのは、国民にとってメリットがないからであり、当分、健康保険証の発行を継続することこそ必要だと訴えた。
 また、医療関係者の賃金引き上げのためにベースアップ評価料が新設されたが、対象が一部の職種に限られ、それ以外の職種の賃上げを行うために各医療機関は持ち出しを余儀なくされており、基本診療料の引き上げこそ求められていると要請した。
 5月の要請では、井坂信彦(立憲)・桜井周(立憲)・宮本岳志(共産)各衆議院議員、福島みずほ参議院議員(社民)、6月は末松信介参議院議員(自民)、井坂信彦(立憲)・一谷勇一郎(維新)・宮本岳志(共産)・大石晃子(れいわ)各衆議院議員と面談。
 末松議員は保険証廃止について、「様々な意見があるのは承知している。ご意見は承る」と応じた。
 井坂議員は、政府の強引なデジタル化を批判した上で、立憲民主党で自身が中心となり、デジタル化のあるべき姿を政策としてまとめていることを紹介。10月から始まる後発医薬品と先発医薬品の差額の患者負担徴収について、「医療費削減を目的にさらなる負担を強いるのはやりすぎだ」と述べた。
 桜井議員は、「現行の保険証を守ることが健康を守ることだ」とコメントした。
 一谷議員との面談では、今年3月に日本維新の会が発表した「医療制度の抜本改革(医療維新)に向けての政策提言書」に話題が及んだ。川西参与は「市場のチェック機能を導入して効率化するというが、今の国民皆保険制度は、市場ではなく、高い公益性によって世界でも有数の効率を実現している」と政策提言書を批判し、改善を求めた。
 宮本議員は、マイナンバーカードと保険証の紐づけ解消のために新たに249億円の国費が投じられたことを告発。政権交代で保険証の存続をと呼びかけた。
 大石議員は、「いつも医療現場からの声を届けてくださっていることに感謝する」と述べ、「政治とカネ」の問題で自公・維新が合意した政治資金規正法改定案は「裏金維持法だ」と批判した。
 福島議員は、「国民の多くが保険証の廃止に反対しているのに強行するのは『人に優しいデジタル化』ではない」とコメントした。
 両日とも、保険証存続を求める集会が開催された。5月23日は議員会館前で100人が「保険証を残そう」と書かれた横断幕やプラカードをかかげ通行人にアピールし、国会議事堂に向けて「受療権を守れ」などと訴えた。
 6月6日の国会内集会では現地とWebを合わせて、300人が参加。あいさつに立った武村副理事長は、「国民を分断する強引な保険証廃止を何としても食い止めよう」と訴えた。
 集会には、日本弁護士連合会の野呂圭副会長と埼玉県弁護士会の大塚信雄会長も参加。賛同のあいさつを述べた。
厚労省交渉
「河野大臣の脅し、厚労省は冷静な対応を」
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厚労省(手前)に診療報酬不合理是正などを要請

 厚労省交渉には、協会から武村、森岡両副理事長が参加。厚労省からは保険局医療課の木下翔司・藤村勇両課長補佐、同医療介護連携政策課保険データ企画室の小菅望基人主査、同国民健康保険課企画法令係の阿部明仁氏が参加した。
 協会は、河野太郎デジタル大臣が自民党の国会議員に文書を配布し、マイナンバーカードでの受付をしていない医療機関を通報するよう促したことについて、通報にもとづいて厚労省から医療機関に問い合わせを行わないように求めた。
 厚労省側は「事実関係の確認を行うことはありうる」と回答。協会側はそうした不当な「脅し」を今すぐ止めるように強く要請。現時点でオンライン資格確認システムを導入していない医療機関に対し療養担当規則違反による処分などは行っていないことを確認した。
 また、協会は、数年以内に閉院予定の医療機関なども義務化対象外施設(紙レセプト)と同様に「資格確認限定型」のオンライン資格確認システムを導入することを認めるように要請。厚生労働省は、義務化対象外施設以外は通常のオンライン資格確認システムを導入することが前提だとしながらも、「『限定型』の制度設計は現時点で完全に決まっているものではない」「ご意見は、今後の省内の議論に活かしたい」と回答した。
 その他、一部自治体で、予算不足を理由に、政府が認めている、これまでと同じ11月末まで1年間の有効期限ではなく、有効期限の短い国保保険証を発行するとしている問題について、厚労省は、システム改修等に必要な予算等については国が財政措置を用意していると回答した。
 診療報酬改定については、協会から「再診料や入院料などの基本診療料の大幅引き上げ」「生活習慣病管理料の是正」「使途限定のベースアップ評価料の是正」「診療報酬による医療DX推進をやめること」「外来での感染対策に関する点数の改善」等について要請。厚生労働省は、ベースアップ評価料の申請が煩雑だという意見は寄せられており、認識しているとした上で、ぜひ届出をしてほしいと述べた。
 交渉は、田村智子参議院議員(共産)の事務所の仲介で実現した。
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