兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年7月15日(2075号) ピックアップニュース

燭心

 満面の笑みの岸田首相が映し出された。6月、イタリアでのG7会議の最中、岸田首相がゼレンスキー大統領と会談し、日・ウクライナ支援協力アコードに署名した際の映像であった。裏金問題追及が続く国会からの海外逃避、G7首脳前でのパフォーマンスなどで気持ちが高揚したのだろう。一方、ロシアがこの映像を見たら面白くないのは当然で、その後の日ロ外務省局長会議は平行線。国際紛争の解決手段として武力行使を認めない日本国憲法を持つ国の首相として、話し合いは重要だ。どちらか一方に肩入れしていると捉えられることはどうだろうか▼9条は日本国憲法の軸である。2年前、ロシアのウクライナ侵攻後に実施した協会の会員調査では、憲法9条について「堅持」28%、「見直すべき」52%と見直すべきが8年ぶりに多くなった。国民の命を守る医療者の団体として、また国民の命を奪う戦争の愚かさを繰り返さないことを誓い設立された団体としてどう考えればいいのか▼〝戦争はいったん始まると止められない〟と多くの識者は語る。9条堅持派に問いかけたい。堅持さえすればこれからまた数十年日本の平和は続くのか。見直し派に問いかけたい。改憲すれば絶対日本は戦争に巻き込まれないのか▼明白な現実は、現在の有事関連法のもと、有事=武力攻撃事態と判断されれば、前の戦争と同じく、医師・歯科医師は徴収可能ということ。「新しい戦前」という言葉にわれわれはもっと敏感にならなくてはならない。(蓮)
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