2024年8月05日(2077号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー(34)
三木市・ときわ病院 歯科口腔外科 桧山 弥侑先生 髙橋 頌子先生
女性医師・歯科医師の生き方を紙面上で交流する「女医の会インタビュー」。今回は、三木市・ときわ病院歯科口腔外科で働く髙橋頌子先生と桧山弥侑先生に、一生懸命取り組んでいることや今後の目標などについてお話いただいた。
一般歯科や小手術に加え、摂食嚥下、訪問診療など、患者さんの背景を踏まえながらベター、ベストな選択をすることはとても難しいですが、そこに病院歯科のおもしろさ、やりがいがあると感じています。学生時代の想像よりも、歯科医師としてできることははるかに多かったです。
1年間ときわ病院で研修後、西市民病院にて専攻医として採用いただき、こちらでもたくさんの学びを得ることができました。専攻医修了時に内橋康行先生にお声かけいただき、出産を経て子どもが8カ月となった今年5月から再び、ときわ病院に戻らせていただきました。
現在勤務は週3日です。歯科医師の夫が働く病院も非常に理解が深く、そちらの病院の保育園に子どもが入ることができ、朝は夫が保育園に連れていき、仕事が終わるのが早い方が迎えに行くようにしています。復帰まで様々な面で不安がありましたが、内橋先生に技術的なブランクはないようなものと言われ、改めて自分を見直す機会となり、テクニカルな面でもアセスメントの面でも自分の現状を受け入れ、日々研鑽に努めています。先生方、スタッフの方々のサポートもあり、スムーズに復職することができました。ご迷惑をおかけしている面もあると思いますが、本当にありがたく感謝しています。
ただ、医療機関の一場面では男性社会を感じることもあり、特に歯科などドクターが少ないなかで1人抜けると厳しい雰囲気を感じます。
また、努力不足ではありますが妊娠・出産とキャリア形成の両立が難しいと感じています。卒後、研修を終え歯科医師としてできることが増えてきた、認定医の取得を考えるといった時期が、ちょうど結婚・妊娠などライフイベントと重なる場合もあると思います。矯正分野を選んだ友人は、1症例の期間が長いためその間は休んだりすることが難しいと言っていました。
認定医が取れたとしてもそこで終わりではなく、臨床に活かすにはその後の勉強、経験が非常に大切だと感じています。年齢、男女関係なく、いつでも学びやすい環境整備が必要ではないでしょうか。
加えて現在の研修制度では、病院での研修は必須ではないため、病院歯科の役割が多くの歯科医師の先生方になかなか伝わっていないよう感じます。実際私も学生の時は口腔外科、病院歯科の違いがわかっていませんでした。短期間でも研修することで病診連携など大いにスムーズになるのではないでしょうか。
すでに高齢化は進んでおり有病率も上がっている中、ありがたいことに病院歯科に紹介いただくことも多いように感じています。研修制度を考える厚労省の方にも、ぜひ一度〝病院歯科〟の役割を再考していただきたいです。
今回の診療報酬改定で、急性期に加え、回復期の患者さんに対する口腔機能管理も評価の対象になったので、これを機に、医師との連携も深められたらと思っています。
協会の研究会の良さは足立先生方に教えていただきよく知っていたので、産休後復帰したことをきっかけに入会しました。共済制度も年金やグループ保険、休業保障と非常に手厚いので、加入したいと考えています。
多くの既往疾患、内服薬を持つ有病者、さらにはご自身の言葉で上手く表現できない入院患者をはじめとする高齢者の方々に対しての治療は制限も多く、困難を極めます。当初、どうしても手技の向上に重きを置きがちでしたが、診断があってこその治療であり、診断能力の向上を意識し、患者さんにとって何がベストな治療なのかを模索し続けた一年でした。
1月には能登半島地震のJDAT兵庫の第1陣として参加させていただき、このことは、めざす歯科医師像に大きな影響を与えたと考えています。阪神・淡路大震災以来、災害支援活動を続けていらっしゃる当院の足立了平先生、加古川中央市民病院部長である橘進彰先生とご一緒させていただき、限られた環境下で歯科医師にできることを学ばせていただきました。災害関連死として大きな割合を占める肺炎の予防として口腔ケアの必要性を大小さまざまな避難所を回り、被災者の方々にお伝えし、口腔ケアがしやすい環境整備等に努めました。一歩避難所を出れば、建物が崩壊し、地割れした地面ばかりという環境下での被災者の方々の精神的・身体的疲労は想像をはるかに上回り、微々たる支援であると痛感するとともに、災害被害を縮小するために歯科は尽力しなければならない、と思いを新たにしました。
今後ますます課題が増えてくるであろう超高齢社会に向けて、周囲の方々のお力添えをいただきながら、健康寿命の延伸をめざした口腔機能管理を学んでいきたいと考えています。口腔機能管理と言ってしまえば簡単に聞こえますが、内服薬が与える影響や患者背景をしっか りと考慮し管理を行っていくことは容易ではありません。全身状態に関する幅広い知識や臨床経験をしっかりと得て、患者さんにとって最高の一手となる治療を提案できるような歯科医師に最終的になれることを目標とし、邁進してまいりたいと思います。
協会に入会したのは、協会歯科部会・北播支部主催の歯科「診断力」スキルアップセミナーin小野に、指導医である内橋康行先生と参加させていただいたことがきっかけの一つでした。「病診連携で診る高齢有病者の歯科治療-既往疾患の評価から口腔粘膜疾患まで-」をテーマに内橋先生がご講演される中、至らない点も多い中ではありますが一部内容を任せていただき、近隣の先生方と意見交換をさせていただいたことが印象深く心に残っております。地域包括ケアシステムが推進される現状において、必須の地域連携のきっかけにもなっているのではないかと思います。
協会は他にも多くの研究会をしてくださっており、知識・臨床経験が浅い私のような若手にとって非常に有意義で、多くのことを学ばせていただいております。
いつでも学びやすい環境に
歯科医師となったのは特別熱い志があったわけではなく、母が同じ職業で身近な存在だったからです。ただ、ときわ病院での研修を経て歯科医師になってよかったと思うようになりました。先生方の患者さんに対する姿勢や、人間として勉強になることばかりで刺激的な日々を送らせてもらっています。一般歯科や小手術に加え、摂食嚥下、訪問診療など、患者さんの背景を踏まえながらベター、ベストな選択をすることはとても難しいですが、そこに病院歯科のおもしろさ、やりがいがあると感じています。学生時代の想像よりも、歯科医師としてできることははるかに多かったです。
1年間ときわ病院で研修後、西市民病院にて専攻医として採用いただき、こちらでもたくさんの学びを得ることができました。専攻医修了時に内橋康行先生にお声かけいただき、出産を経て子どもが8カ月となった今年5月から再び、ときわ病院に戻らせていただきました。
現在勤務は週3日です。歯科医師の夫が働く病院も非常に理解が深く、そちらの病院の保育園に子どもが入ることができ、朝は夫が保育園に連れていき、仕事が終わるのが早い方が迎えに行くようにしています。復帰まで様々な面で不安がありましたが、内橋先生に技術的なブランクはないようなものと言われ、改めて自分を見直す機会となり、テクニカルな面でもアセスメントの面でも自分の現状を受け入れ、日々研鑽に努めています。先生方、スタッフの方々のサポートもあり、スムーズに復職することができました。ご迷惑をおかけしている面もあると思いますが、本当にありがたく感謝しています。
ただ、医療機関の一場面では男性社会を感じることもあり、特に歯科などドクターが少ないなかで1人抜けると厳しい雰囲気を感じます。
また、努力不足ではありますが妊娠・出産とキャリア形成の両立が難しいと感じています。卒後、研修を終え歯科医師としてできることが増えてきた、認定医の取得を考えるといった時期が、ちょうど結婚・妊娠などライフイベントと重なる場合もあると思います。矯正分野を選んだ友人は、1症例の期間が長いためその間は休んだりすることが難しいと言っていました。
認定医が取れたとしてもそこで終わりではなく、臨床に活かすにはその後の勉強、経験が非常に大切だと感じています。年齢、男女関係なく、いつでも学びやすい環境整備が必要ではないでしょうか。
加えて現在の研修制度では、病院での研修は必須ではないため、病院歯科の役割が多くの歯科医師の先生方になかなか伝わっていないよう感じます。実際私も学生の時は口腔外科、病院歯科の違いがわかっていませんでした。短期間でも研修することで病診連携など大いにスムーズになるのではないでしょうか。
すでに高齢化は進んでおり有病率も上がっている中、ありがたいことに病院歯科に紹介いただくことも多いように感じています。研修制度を考える厚労省の方にも、ぜひ一度〝病院歯科〟の役割を再考していただきたいです。
今回の診療報酬改定で、急性期に加え、回復期の患者さんに対する口腔機能管理も評価の対象になったので、これを機に、医師との連携も深められたらと思っています。
協会の研究会の良さは足立先生方に教えていただきよく知っていたので、産休後復帰したことをきっかけに入会しました。共済制度も年金やグループ保険、休業保障と非常に手厚いので、加入したいと考えています。
患者さんに最高の治療提案できる歯科医師めざす
昨年1年間ときわ病院で研修医として学んだ後、引き続き勤務しています。超高齢社会における歯科の役割を学ぶ上でときわ病院は、歯科医師・歯科衛生士も含め、全身状態や患者背景を考慮し、教科書通りの知識では対応できない判断・対応をされており、模範となる方々に囲まれた環境です。多くの既往疾患、内服薬を持つ有病者、さらにはご自身の言葉で上手く表現できない入院患者をはじめとする高齢者の方々に対しての治療は制限も多く、困難を極めます。当初、どうしても手技の向上に重きを置きがちでしたが、診断があってこその治療であり、診断能力の向上を意識し、患者さんにとって何がベストな治療なのかを模索し続けた一年でした。
1月には能登半島地震のJDAT兵庫の第1陣として参加させていただき、このことは、めざす歯科医師像に大きな影響を与えたと考えています。阪神・淡路大震災以来、災害支援活動を続けていらっしゃる当院の足立了平先生、加古川中央市民病院部長である橘進彰先生とご一緒させていただき、限られた環境下で歯科医師にできることを学ばせていただきました。災害関連死として大きな割合を占める肺炎の予防として口腔ケアの必要性を大小さまざまな避難所を回り、被災者の方々にお伝えし、口腔ケアがしやすい環境整備等に努めました。一歩避難所を出れば、建物が崩壊し、地割れした地面ばかりという環境下での被災者の方々の精神的・身体的疲労は想像をはるかに上回り、微々たる支援であると痛感するとともに、災害被害を縮小するために歯科は尽力しなければならない、と思いを新たにしました。
今後ますます課題が増えてくるであろう超高齢社会に向けて、周囲の方々のお力添えをいただきながら、健康寿命の延伸をめざした口腔機能管理を学んでいきたいと考えています。口腔機能管理と言ってしまえば簡単に聞こえますが、内服薬が与える影響や患者背景をしっか りと考慮し管理を行っていくことは容易ではありません。全身状態に関する幅広い知識や臨床経験をしっかりと得て、患者さんにとって最高の一手となる治療を提案できるような歯科医師に最終的になれることを目標とし、邁進してまいりたいと思います。
協会に入会したのは、協会歯科部会・北播支部主催の歯科「診断力」スキルアップセミナーin小野に、指導医である内橋康行先生と参加させていただいたことがきっかけの一つでした。「病診連携で診る高齢有病者の歯科治療-既往疾患の評価から口腔粘膜疾患まで-」をテーマに内橋先生がご講演される中、至らない点も多い中ではありますが一部内容を任せていただき、近隣の先生方と意見交換をさせていただいたことが印象深く心に残っております。地域包括ケアシステムが推進される現状において、必須の地域連携のきっかけにもなっているのではないかと思います。
協会は他にも多くの研究会をしてくださっており、知識・臨床経験が浅い私のような若手にとって非常に有意義で、多くのことを学ばせていただいております。