兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年8月25日(2078号) ピックアップニュース

燭心

 先日「研修医の誤診で高校生が死亡」と報道があった。若くして亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げる▼事件は昨年5月に起きた。詳細は不明だが、23年5月28日早朝、研修医の診療後帰宅し、同日昼に他の研修医が診療し経過観察を指示。29日に受診した近医から同病院に紹介され、SMA症候群を疑い消化器内科に入院。深夜に心停止となり16日後に死亡した▼この経過では研修医に重大な過失があるとは思えない。たとえ「誤診」があっても入院でリカバーされており、「研修医の誤診」と「死亡」に強い因果関係があるかのように報道するのはミスリードを超え、レッテルを貼られた研修医のその後を思うと、怒りすら覚える▼しかし問題は情報源だ。「研修医の勝手な判断・誤診がなければこのような結果になっていなかった」は、記者会見での遺族のコメントである。これではマスコミに抗議しても「弊社の見解や意見ではない」となる▼「後医は名医」と言われるように、特に救急診療においては初診から100%の正診はありえない。再発防止には組織のシステム改善が重要である▼マスコミも医療者も、安全安心の医療を国民に提供する重要性を共有しているはず。過度な個人責任追及はいわゆるディフェンシブ・メディスン(防衛医療)を助長し、高リスク患者の診察を回避し、卒後の診療科選択にも影響し、医療へのアクセス低下を通して、国民の健康悪化へと跳ね返りかねない(空)
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