兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年9月05日(2079号) ピックアップニュース

燭心

 オリンピックが終わった。日本は多くのメダルを取った(45個)。メダルの数はGDPに比例するという。意外にドイツやインドは少なかったが、かつては国威発揚という目的でdoping等、東ドイツや中国等で異様なメダル獲得もあったが、近代オリンピックを提唱したクーベルタン男爵の地パリで、100年ぶりに開催された▼走る・跳躍・泳ぐ・球や槍を投げる。重量物を持ち上げる。崖をよじ登る。格闘する。これほど多様な運動機能を持った哺乳類は地球上には人類だけである。個別に考えたら「走る」は馬が一番、飛ぶはコウモリ、格闘はライオン、泳ぐはイルカ、重量挙げはゴリラに負ける▼平和の祭典と言われるが、近代オリンピックは戦争と関係し、兵を養成するための競技が数多くあり、富国強兵策そのものである。古代オリンピックは期間中、戦争しなかったが、近代オリンピックの場合は現在も、ウクライナやパレスチナで戦争が続いている。オリンピックに継続してパラリンピックも開催される。それ自体良いことであるが、パラリンピックとはparaplegia(対麻痺)との合成語であり、多くの傷痍軍人に希望を持たす目的もある▼ヨット競技など外洋を必要とする、巨大化した競技を含め、今後、利権、商業主義を結び付けた軍事的大国でしか開催できなくなる。多くのメダルを獲った日本も浮かれずに。願わくば文武両道、金メダルも良いが、このところ少なくなった特許やノーベル賞も取ってほしいと思う(鼻)
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