兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年9月05日(2079号) ピックアップニュース

原水爆禁止2024年世界大会・広島

 原水爆禁止2024年世界大会が、8月4日から9日に広島市内・長崎市内で開催された。4日から6日の広島会場には、協会から川西敏雄参与が、明石市の樫林歯科から職員が参加し、広川恵一顧問の医療機関から託された折り鶴を「原爆の子の像」に供えた。会場には3750人、オンラインで1250人の計5000人が参加した。川西参与と樫林歯科職員の岡本氏の参加記を紹介する。

参加記①
「核兵器製造企業に私のお金使ってませんよね?」
参与  川西 敏雄
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8月5日、広島駅前でアピールする川西参与(右2人目)ら近畿反核医師懇談会のメンバー。左2人目は川崎哲・ピースボート共同代表

 広島での世界大会の開催にあわせ、近畿各府県の協会などでつくる近畿反核医師懇談会は、同会で重点的に取り組むDBOBキャンペーンの街頭宣伝を行いました。
 DBOB(Don't bank on the bomb)とは、オランダのNGO・PAXが始め、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が広げている運動です。和訳は「核兵器をつくる会社にお金を貸すのはやめよう」となります。
 金融機関による核兵器製造企業への投融資禁止を訴え、世界では現在大きな流れとなっていますが、国内ではまだまだ緒についたところです。
 ちなみに、メガバンクではりそな銀行、生命保険会社では日本生命・大樹生命などが核兵器製造企業に投融資しないポリシーを策定しています。
 しかし、このような金融機関はまだまだ少数であり、このような宣言を行う国内の金融機関の参加が大きく増えることが期待されています。そのための原動力は国民の世論であり、その一環として今回の広島での啓発キャンペーンとなりました。
 街宣は、世界大会会場入り口や広島駅前、本通り商店街、りそな銀行前などで行われ、商店街の練り歩きも実施されました。また、5日の分科会でもこのキャンペーンについて、松井和夫・和歌山協会理事が話題提供されました。
 今回は〝DBOBキャンペーンソング〟も用意され、大変好評を得ました。その歌詞を紹介します。

核なき世界をつくる
DBOBって知ってるかい?
核なき未来を目指す活動なんだ
核兵器を作る会社に
お金を貸すのはやめよう
金融機関に呼びかける
大切な運動なんだ

Don't bank on the bomb
核兵器にお金を貸すな
Don't bank on the bomb
子どもたちに核なき世界を
未来の平和をつくる一歩

 歌詞を締めくくる「未来の平和をつくる一歩」は、23年の反核医師のつどいで発足した、若手医療・介護従事者が取り組む「いっぽプロジェクト」へのつながりを感じさせられました。
 協会会員の皆様も、取引のある金融機関への一言をお願いします。
 「私のお金・預金・生命保険・年金、まさか核兵器製造企業に貸し出されていませんよね」
参加記②
被爆者から聞いた体験自分なりに伝えていきたい
明石市・樫林歯科職員  岡本有理子
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広川内科クリニックから託された折り鶴を手に、世界大会会場で記念撮影。右から3人目が筆者

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会場で絵本(上)を買って帰り、子どもたちに読み聞かせた

 私は原爆ドームや広島の原爆の現状を生まれてこの方見たことがありませんでした。このたび、原水爆禁止世界大会は初めての参加になり、子どもたちの未来のためにも勉強したいと思い、挑みました。
 実際に被爆者の方々のお話をお聞きし、5日の分科会では「『ヒロシマの声を聞こう』平和公園碑めぐり・被爆者のはなし」へ参加し、実際に爆心地へ足を運び、追体験したことで胸が張り裂ける思いでした。
 芦屋市原爆被害者の会会長の千葉孝子さんのお話では、被爆当時、孝子さんは4歳、お兄様が小学3年生であり、まさにわが子たちの年齢の時に悲惨な体験をされており、涙なしではお話を聞くことができませんでした。原爆投下前には広島上空で何度も偵察されており、朝の8時15分という一番戸外に人が多く出ている時間帯を狙って原爆投下をしてきたと話されており、何とも卑劣で非人道的な行為に怒りが込み上げました。
 三戸栄子さんのお話では、被爆当時、栄子さんは4歳。風速200~400メートルの爆風で吹き飛ばされ、右肘に大きな裂傷と首から上だけが地面に出た状態で埋まっていたとお聞きし、わが子である次男と同じ年齢で壮絶過ぎる体験をされながらも強く生き抜いていらっしゃる姿を見て、核戦争は二度と繰り返してはならないものであることを声に出し続けていく必要があるのだと強く感じました。
 原爆の資料館にて、小さな子どもたちの遺品と目を背けたくなるような生々しい写真を見て、ショックでしたが決して目を背けてはいけない。わが子たちに核戦争がいかに残酷で、二度と起こってはいけない出来事であったのか伝えなければと必死で目に焼き付けました。
 「伸ちゃんのさんりんしゃ」という絵本を買って帰り、子どもたちに伝えようとしたところ、8歳の長男は黙って絵本を読んだ後、「お母さん、原爆の話を聞かせてくれる?」と自分から話を聞きたいと言ってきて、学んだこと全てを話したところ、震え始め、「酷い...でも僕は今幸せで良かった」と声をあげて泣き始めました。泣き出した兄を見た次男も、絵本を読んでほしいと私の膝の上に静かに座りました。
 私たちの何気ない今日は、生きたくても生きられなかった人たちの今日なのだ。わが国だけではなく全世界の国民に何気ない日常を過ごす権利がある。そのためには核による抑止ではなく、核廃絶を何としても実現させなければならない。
 平和行進をすることも、子どもたちに平和の意味を伝えることも、私なりの言葉と行動で平和へのメッセージを伝えられたらいいなと思います。

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