2024年9月15日(2080号) ピックアップニュース
燭心
店頭からお米が消えて久しい。令和の米騒動などと言われている。先月から一袋も買えない状態だ。次回入荷は不明と張り紙がある。ようやく目にしても驚くほど高い。パンや麺類で何とかしのいではいるが、食べ盛りの子どもを持つ家庭は大変だろう▼農水省は「米の需給がひっ迫しているとは考えていない」「新米が出回れば品薄感は解消される」と、まるで他人事のような対応だ。猛暑、インバウンドによる需要増、南海トラフ情報による買いだめなどを理由にあげているが、本当にそうなのか? どうも疑問に思う▼そもそも、政府は米が過剰だからと減産を強いて在庫を減らしてきた。その結果が今の米不足と価格高騰につながったのではないか。食料需給を市場任せにし、責任を持とうとしない農政が根本の原因ではないか。日本の食料自給率が38%と、先進国一低いことと、大いに関係があるのではないか。空っぽの米びつを前にして考える▼米騒動から今年で106年、富山の一漁村で起こったおかみさんたちの「一揆」は瞬く間に全国に広まった。鎮圧に軍隊まで出動したが時の寺内内閣は倒れた。国民の悲鳴をよそに内輪の総裁選挙に明け暮れる令和の政権党の姿は、当時と何も変わっていないように見える。米騒動をきっかけにした民衆の運動の高まりは、のちの大正デモクラシーにつながり、普通選挙の実施などが実現する。令和の米騒動も国民の暮らしを大切にする政治の転換につなげて、歴史に学んだと胸を張りたいものだ(星)