2024年10月05日(2082号) ピックアップニュース
2024年総選挙にあたっての保険医の重点要求(案)
2024年9月 兵庫県保険医協会
10月15日公示、10月27日投票の日程で行われるとされる総選挙に向けて、9月28日の第1197回理事会で承認された「2024年総選挙にあたっての保険医の重点要求(案)」を発表する。
今次総選挙にあたり、私たち保険医はこれまでの医療・社会保障費抑制政策を転換することを強く求める。
2024年度診療報酬改定は、またしても全体マイナス改定となった。物価や人件費の高騰に加え、オンライン資格確認の義務化等医療DX対応の負担等により、昨年度の医療機関の休廃業・解散は過去最多を更新し、10年前と比較して2・3倍に増えている。このままでは、地域での医療崩壊が危惧される。
また、国民皆保険制度の象徴である保険証を廃止し、取得が任意のマイナンバーカードと申請に基づいて交付される資格確認書をその代替として使用することは、国民皆保険制度で保障された市民の受療権を奪うものである。
さらに、政府・与党は、金融資産に応じたさらなる患者・国民負担の導入、医学部定員の削減、保険給付範囲の見直し、介護サービス利用料2割負担の対象者の範囲拡大、ケアマネジメントに対する利用者負担の導入、軽度者に対する介護サービスの地域支援事業への移行などを行うとしている。
政府・与党はこうした医療・社会保障費抑制政策をやめ、医療・社会保障の充実と国民・患者負担の引き下げ等で、国民の命、健康、生活、そしてそれを支える医療機関を守るべきである。
一方で、政府・与党はアメリカ言いなりの軍拡を進めている。2024年度の防衛費は過去最大7・9兆円であり、25年度概算要求に至っては8・5兆円にまで増やす方針である。過去の戦争の反省から禁じられてきた国債による防衛費拡大も解禁した。その上、それまで歴代自民党政権ですら憲法違反であるとしてきた集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力の保有、空母の保有を容認し、国是である武器輸出三原則も徐々に要件を緩和し、殺傷能力のある武器の輸出も解禁した。こうした日本のこれまでの安全保障政策を抜本的に転換する動きは、ついに、主権の一部である自衛隊の指揮権をアメリカに差し出す方向性に達している。自衛隊をアメリカの尖兵とするこうした動きは、極めて危険なもので断固容認できない。
また、この間、大きな問題となっている自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件は、財界による政策買収を示すものであるし、多くの市民に被害を与えたカルト教団、旧統一教会と自民党の組織的つながりがいまだに清算されていないことは、日本の民主主義の危機であるといわざるを得ない。
私たちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、日本のさらなる軍事大国化を許さず、社会保障の充実で持続可能な経済社会をつくることを求める。
②医師不足を解消するとともに相次ぐ医師の過労死を防ぐため、医師、看護師などの養成数を増やすこと。
③健康保険証を存続させるとともに、医療機関に医療DXに係るシステムの導入を強制したり、それに伴う金銭的人的負担を押し付けないこと。
④患者負担増計画を撤回し、医療費窓口負担割合を引き下げること。こどもの医療費窓口負担は国の責任で中学3年生まで無料にし、高校3年生世代まで無料をめざすこと。
⑤診療報酬本体の再改定、不合理是正を行うこと。
⑥歯科医療危機の打開にふさわしい歯科診療報酬の大幅引き上げ、保険の利く範囲を広げること、歯科技工士・歯科衛生士の労働環境の改善、金パラ逆ザヤ解消を行うとともに代替材料の開発と保険適用を行うこと。
⑦混合診療の全面解禁につながる選定療養費制度のさらなる拡大などを行わないこと。
⑧国庫負担の引き上げで国保保険料を引き下げること。また、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。学資保険などの差し押さえを行わないこと。
⑨介護保険制度を抜本的に見直し、介護報酬を引き上げ、必要なサービスが受けられるよう認定方式を改めるとともに、保険料を応能負担に改め、利用者負担を引き下げること。
⑩年金積立金の投機的運用を止めるとともに、自動的に年金支給額を減らす「マクロ経済スライド」を廃止し、最低保障年金制度の創設をめざすこと。
⑪医療の公益性を守る事業税非課税措置と4段階税制を存続させること。
②被災地復興に直接関係のない事業に復興予算を流用するのをやめ、被災者の生活再建に真に役立つ予算執行を行うこと。
③被災者生活再建支援法の支援限度額引き上げ、半壊・一部損壊世帯・住宅店舗への適用拡大、災害規模による適用条件の廃止を行うこと。
②防衛予算の急拡大など、税金の使い方を見直し、社会保障への公費負担を拡充すること。
③空前の利益を上げ、内部留保を積み増ししている大企業に、安定的雇用の拡大、賃金の引き上げを求め、社会保険料収入を確保すること。
④大企業や富裕層向けの優遇税制をあらため、法人税や所得税率を引き上げ、社会保障の財源を確保すること。タックスヘイブンなどにより税金逃れを行っている企業や富裕層に追徴的に課税すること。
②稼働中の原発を停止し、すべての原発の再稼働、新増設、輸出を止め、全原発の廃炉を決断すること。
③原子力規制委員会を透明かつ公正・民主的な機関として確立すること。
④アスベスト健康被害に関する国の責任を認め、被害実態の正確な調査・把握、十分な補償を行うこと。
⑤震災時をはじめとする建物解体に伴うアスベスト飛散を防止するため、実効性のある予防策を行うこと。
②憲法を守り、憲法どおりの国づくりをめざすこと。
③沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古への新基地建設を行わないこと。
④唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、条約に参加をしない核保有国などに批准を求めること。
⑤ロシアによるウクライナ侵攻の事態打開のため非軍事的外交努力を強めること。
⑥イスラエルによるガザへの武力行使を中止させるため、外交努力を強めること。
以上
今次総選挙にあたり、私たち保険医はこれまでの医療・社会保障費抑制政策を転換することを強く求める。
2024年度診療報酬改定は、またしても全体マイナス改定となった。物価や人件費の高騰に加え、オンライン資格確認の義務化等医療DX対応の負担等により、昨年度の医療機関の休廃業・解散は過去最多を更新し、10年前と比較して2・3倍に増えている。このままでは、地域での医療崩壊が危惧される。
また、国民皆保険制度の象徴である保険証を廃止し、取得が任意のマイナンバーカードと申請に基づいて交付される資格確認書をその代替として使用することは、国民皆保険制度で保障された市民の受療権を奪うものである。
さらに、政府・与党は、金融資産に応じたさらなる患者・国民負担の導入、医学部定員の削減、保険給付範囲の見直し、介護サービス利用料2割負担の対象者の範囲拡大、ケアマネジメントに対する利用者負担の導入、軽度者に対する介護サービスの地域支援事業への移行などを行うとしている。
政府・与党はこうした医療・社会保障費抑制政策をやめ、医療・社会保障の充実と国民・患者負担の引き下げ等で、国民の命、健康、生活、そしてそれを支える医療機関を守るべきである。
一方で、政府・与党はアメリカ言いなりの軍拡を進めている。2024年度の防衛費は過去最大7・9兆円であり、25年度概算要求に至っては8・5兆円にまで増やす方針である。過去の戦争の反省から禁じられてきた国債による防衛費拡大も解禁した。その上、それまで歴代自民党政権ですら憲法違反であるとしてきた集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力の保有、空母の保有を容認し、国是である武器輸出三原則も徐々に要件を緩和し、殺傷能力のある武器の輸出も解禁した。こうした日本のこれまでの安全保障政策を抜本的に転換する動きは、ついに、主権の一部である自衛隊の指揮権をアメリカに差し出す方向性に達している。自衛隊をアメリカの尖兵とするこうした動きは、極めて危険なもので断固容認できない。
また、この間、大きな問題となっている自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件は、財界による政策買収を示すものであるし、多くの市民に被害を与えたカルト教団、旧統一教会と自民党の組織的つながりがいまだに清算されていないことは、日本の民主主義の危機であるといわざるを得ない。
私たちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、日本のさらなる軍事大国化を許さず、社会保障の充実で持続可能な経済社会をつくることを求める。
個別要求
1、医療・社会保障制度の改善要求
①急性期病床削減ありきの地域医療構想策定ガイドラインを都道府県に押し付けず、都道府県が、地域の住民はもとより地域の医療関係者の意見を十分に反映させ、災害や新興感染症対策を見越して余裕を持った病床数を将来推計に反映させることができるようにすること。地域医療の砦として政策医療を提供する公立・公的病院の役割を評価し、無理な統廃合を行わないこと。②医師不足を解消するとともに相次ぐ医師の過労死を防ぐため、医師、看護師などの養成数を増やすこと。
③健康保険証を存続させるとともに、医療機関に医療DXに係るシステムの導入を強制したり、それに伴う金銭的人的負担を押し付けないこと。
④患者負担増計画を撤回し、医療費窓口負担割合を引き下げること。こどもの医療費窓口負担は国の責任で中学3年生まで無料にし、高校3年生世代まで無料をめざすこと。
⑤診療報酬本体の再改定、不合理是正を行うこと。
⑥歯科医療危機の打開にふさわしい歯科診療報酬の大幅引き上げ、保険の利く範囲を広げること、歯科技工士・歯科衛生士の労働環境の改善、金パラ逆ザヤ解消を行うとともに代替材料の開発と保険適用を行うこと。
⑦混合診療の全面解禁につながる選定療養費制度のさらなる拡大などを行わないこと。
⑧国庫負担の引き上げで国保保険料を引き下げること。また、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。学資保険などの差し押さえを行わないこと。
⑨介護保険制度を抜本的に見直し、介護報酬を引き上げ、必要なサービスが受けられるよう認定方式を改めるとともに、保険料を応能負担に改め、利用者負担を引き下げること。
⑩年金積立金の投機的運用を止めるとともに、自動的に年金支給額を減らす「マクロ経済スライド」を廃止し、最低保障年金制度の創設をめざすこと。
⑪医療の公益性を守る事業税非課税措置と4段階税制を存続させること。
2、災害復興を求める要求
①能登半島地震の医療費一部負担金免除措置を、生活再建が完了するまで延長し、全被災医療機関の再建に公的支援を行うこと。②被災地復興に直接関係のない事業に復興予算を流用するのをやめ、被災者の生活再建に真に役立つ予算執行を行うこと。
③被災者生活再建支援法の支援限度額引き上げ、半壊・一部損壊世帯・住宅店舗への適用拡大、災害規模による適用条件の廃止を行うこと。
3、財政構造の転換を求める要求
①消費税を減税し、医療機関の控除対象外消費税をゼロ税率導入により解決すること。②防衛予算の急拡大など、税金の使い方を見直し、社会保障への公費負担を拡充すること。
③空前の利益を上げ、内部留保を積み増ししている大企業に、安定的雇用の拡大、賃金の引き上げを求め、社会保険料収入を確保すること。
④大企業や富裕層向けの優遇税制をあらため、法人税や所得税率を引き上げ、社会保障の財源を確保すること。タックスヘイブンなどにより税金逃れを行っている企業や富裕層に追徴的に課税すること。
4、環境・公害に関わる要求
①原発と石炭火発を将来にわたり維持・活用しようとしているエネルギー基本計画を抜本的に見直し、脱原発・脱石炭・再生可能エネルギー中心の政策に転換し、「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を実現すること。②稼働中の原発を停止し、すべての原発の再稼働、新増設、輸出を止め、全原発の廃炉を決断すること。
③原子力規制委員会を透明かつ公正・民主的な機関として確立すること。
④アスベスト健康被害に関する国の責任を認め、被害実態の正確な調査・把握、十分な補償を行うこと。
⑤震災時をはじめとする建物解体に伴うアスベスト飛散を防止するため、実効性のある予防策を行うこと。
5、反核・平和と国民主権を強化・充実する要求
①安全保障関連法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すこと。②憲法を守り、憲法どおりの国づくりをめざすこと。
③沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古への新基地建設を行わないこと。
④唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、条約に参加をしない核保有国などに批准を求めること。
⑤ロシアによるウクライナ侵攻の事態打開のため非軍事的外交努力を強めること。
⑥イスラエルによるガザへの武力行使を中止させるため、外交努力を強めること。
以上