2024年10月25日(2084号) ピックアップニュース
主張 進む原発回帰
地震大国日本に原発はいらない
10月15日公示、27日投開票で総選挙が行われているが、原発・エネルギー政策に関する議論はほとんどなされていない。
その陰で、自民党は原発回帰の姿勢を鮮明にしている。今回の選挙公約では、「原子力など脱炭素効果の高い原発を最大限活用」と大きく原発推進を打ち出し、前回21年度衆院選の「可能な限り原発依存度を低減する」から、大きく変説している。
野党第一党の立憲民主党も公約で「原子力発電所の新増設は認めません」「実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません」としているものの、「原発ゼロ」の文言は消え、原発容認の姿勢に変わりつつある。13年前の福島第一原発事故を忘れたかのようだ。
この間、政府は原発の運転期間の延長を行い、新増設計画を着々と進めようとしている。
今年度中に策定するとされている、中長期のエネルギー政策の方向性を示す第7次エネルギー基本計画では、3年前の第6次計画では低下するとされていた将来の電力需要について、AIの普及やデータセンターの増加など、DXの進展で増加するという予測を出し、増加する電力需要に応えるためには原発の再稼働、さらには新増設が必要という論調となっている。
3年で需要見込みが180度転換しており、「原発推進ありき」の計画ではないかと疑念を抱かざるをえない。
福島第一原発事故は現在もなお収束していない。流入する地下水による汚染水は増え続けており、数百トンにも及ぶ核燃料デブリの数グラムの取り出しすらできていない状態である。除染されたのは、一部の居住区域のみで、放射線が高い地域では立ち入りや居住が制限され、多くの人が故郷に帰れないまま、避難を続けたり、転地を強要されてしまっている。
今年1月1日に起きた能登半島地震は、地震大国日本では「想定外」の地震がいつ、どこで起こってもおかしくないこと、そして「原発災害」を招く危険性が高いこと、避難計画が役に立たないことを改めてわれわれに認識させた。
また、原発は「トイレなきマンション」と言われるように、安定処分できない危険な核燃料廃棄物を延々と出し続けている。安価な電力と称するが、これらの処理費用は、全く含まれてはいない。
政府・与党は「脱炭素効果が高い」とするが、原発新増設・稼働延長の温室効果ガス排出削減コストは、再生エネルギー推進に比べて数倍大きいと、東北大学の明日香壽川教授らでつくる「未来のためのエネルギー転換研究グループ」は指摘している。同グループは、省エネ・節エネの推進、再生可能エネルギーの推進で、2030年度に原発・石炭火力発電をゼロにできるという見通しを示している。
命と健康を守る医療者として、省エネ・節エネと再生可能エネルギーの推進で、原発・石炭火力をゼロにすることこそが必要だと訴える。
その陰で、自民党は原発回帰の姿勢を鮮明にしている。今回の選挙公約では、「原子力など脱炭素効果の高い原発を最大限活用」と大きく原発推進を打ち出し、前回21年度衆院選の「可能な限り原発依存度を低減する」から、大きく変説している。
野党第一党の立憲民主党も公約で「原子力発電所の新増設は認めません」「実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません」としているものの、「原発ゼロ」の文言は消え、原発容認の姿勢に変わりつつある。13年前の福島第一原発事故を忘れたかのようだ。
この間、政府は原発の運転期間の延長を行い、新増設計画を着々と進めようとしている。
今年度中に策定するとされている、中長期のエネルギー政策の方向性を示す第7次エネルギー基本計画では、3年前の第6次計画では低下するとされていた将来の電力需要について、AIの普及やデータセンターの増加など、DXの進展で増加するという予測を出し、増加する電力需要に応えるためには原発の再稼働、さらには新増設が必要という論調となっている。
3年で需要見込みが180度転換しており、「原発推進ありき」の計画ではないかと疑念を抱かざるをえない。
福島第一原発事故は現在もなお収束していない。流入する地下水による汚染水は増え続けており、数百トンにも及ぶ核燃料デブリの数グラムの取り出しすらできていない状態である。除染されたのは、一部の居住区域のみで、放射線が高い地域では立ち入りや居住が制限され、多くの人が故郷に帰れないまま、避難を続けたり、転地を強要されてしまっている。
今年1月1日に起きた能登半島地震は、地震大国日本では「想定外」の地震がいつ、どこで起こってもおかしくないこと、そして「原発災害」を招く危険性が高いこと、避難計画が役に立たないことを改めてわれわれに認識させた。
また、原発は「トイレなきマンション」と言われるように、安定処分できない危険な核燃料廃棄物を延々と出し続けている。安価な電力と称するが、これらの処理費用は、全く含まれてはいない。
政府・与党は「脱炭素効果が高い」とするが、原発新増設・稼働延長の温室効果ガス排出削減コストは、再生エネルギー推進に比べて数倍大きいと、東北大学の明日香壽川教授らでつくる「未来のためのエネルギー転換研究グループ」は指摘している。同グループは、省エネ・節エネの推進、再生可能エネルギーの推進で、2030年度に原発・石炭火力発電をゼロにできるという見通しを示している。
命と健康を守る医療者として、省エネ・節エネと再生可能エネルギーの推進で、原発・石炭火力をゼロにすることこそが必要だと訴える。