兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年11月15日(2086号) ピックアップニュース

燭心

 「元気で長生きしよう」「寝たきりよりPPK(ピンピンコロリ)やな」「そうやな~」。医師も日常診療で使いがちな言葉である。家族、友人間では違和感なく、好ましくも感じるが、国家や政治家から言われると少々うさん臭い。「自助・共助・公助の適切な組み合わせ」「尊厳死の法制化」...「うん? ほんとに私のため?」「医療費の節約のためじゃない?」▼さらに「人生会議・ACPしてみませんか?」とも。ACPとは「あなたが大事にしていることや望んでいること、どこで、どのような医療・ケアを受けたいかを、自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと共有しておくこと」。大事である。しかしなぜ「大事」なのか。「尊厳ある死」は重要だが、その前に「尊厳ある生」をないがしろにしていないだろうか▼「不元気で長生き」や「不健康寿命が長い」はダメなのか。「周りに迷惑」とは、周囲への「余計な手間」や「無駄なお金」か。不健康状態や寝たきりが長くなっても「周りに迷惑」を心配せずに生きていける社会が必要ではないか▼障害を持つ子どもさんの親はいつも悩んでいる。「私が亡くなったらこの子はどうなるの」「この子より1日でいいから長生きしたい」。百万人といわれる8050問題も同じだ。「心配ないですよ。社会全体で支えていきますから」が必要である▼医師として「元気で長生き」「PPK」の考えの根っこに思いを馳せ、安易な使用で誰かを傷つけないようにしたい(空)
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