2024年11月25日(2087号) ピックアップニュース
近畿ブロック
歯科診療報酬改善求め厚労省に要請
兵庫協会からは川村雅之副理事長、水野良司理事が参加、厚労省は保険局医療課の伊東孝課長補佐、岡部眞利主査が応対した。
今次診療報酬改定は4月から6月実施に延期されたものの、改定内容が細かく煩雑で現場が混乱した。いまだに不明な改定内容もあり、不合理で是正すべき項目も多いなか、24項目に絞って要請した。その中でも、9点について要請内容を報告する。
①長引く物価高騰、医療材料の高騰や賃金上昇などで厳しい経営状況にあり、初・再診料の引き上げを軸とした診療報酬の大幅引き上げを求めるとともに、本来医療に資する診療報酬の中に医療DXなど馴染まないものが入り込んでいることを指摘した。医療DXやマイナ保険証の強力な推進について、高齢で地域医療を担っている先生の閉院が早まるきっかけにもなっていることも強調した。
厚労省は、「今後の中医協での議論に向けて、医療経済実態調査はあるが、厳しい経営状況についての現場の皆さんの調査などデータでお示しいただけるものがあれば今後実態把握の参考にさせていただきたい」と述べた。
②情報通信機器を用いた歯科診療の施設基準研修の日時会場が極めて限定的で受講不可能であるため、オンラインでの実施や、歯初診の施設基準研修のような外部研修も可能とすることを要望した。厚労省は、「担当課と連携して検討したい」とした。
③「P重防」や「SPT」開始後の機械的歯面清掃処置(歯清)の包括について、歯周病以外のう蝕など別の歯科疾患がある場合は目的も実施内容も違うため別途算定を認めるようにすることについて、厚労省は、「学術団体、関係者の意見を含めて検討したい」と述べた。
④「P重防」や「SPT」の算定間隔について、口腔管理体制強化加算(口管強)未届出医療機関と口管強届出医療機関と区別する根拠はなく、歯科医師の裁量で患者の状態に応じて毎月算定できるようにすべきとの要望について、厚労省は、「期間短縮が必要な状態については有効性に関する科学的根拠の検討が必要」としたが、近畿ブロックから「では口管強届出医療機関が毎月算定可能な有効性に関する科学的根拠はあるのか逆に示してほしい」と発言したが、厚労省から明確な根拠は示されなかった。
⑤歯科技工士連携加算について、印象採得、咬合採得、仮床試適にそれぞれ1回ずつ算定を認めること。ブリッジについて試適の加算を認めること。
⑥CAD/CAM冠およびCAD/CAMインレーは、今次改定で(Ⅲ)の材料の適用ルールが煩雑で現場が混乱したこと。補管の対象から外れなかったことも含めて、歯科医師の裁量で装着できるようにすること。後継のない永久歯代行歯にも適用拡大することを求めた。厚労省は、「引き続きご意見をお聞かせいただき改善へ取り組みたい」と述べた。
⑦「口腔機能低下症(口機能)」「小児口腔機能管理料(小機能)」の診断、訓練含め評価が低すぎること。
⑧同じ管理でも、「口管強」の加算点数が本体点数を上回るなど点数設定の不合理是正をはじめ、そもそも同じ医療行為であっても請求点数に差がある仕組みは抜本的に見直すことを求めた。
⑨歯科訪問診療料について、高齢者の体力等を考慮しても「20分」という根拠のない時間要件の撤廃、人数区分の減算見直し、義歯作製途中での入院など歯科のある病院への訪問診療、ショートステイも長期間の場合が増えているため訪問診療を認めることについて要望した。
その他、兵庫協会から、歯科衛生士の専門性評価の拡大を求め、現場での歯科衛生士不足が深刻で、時給をかなり引き上げても雇用が難しい状況において、歯科衛生実地指導料の月1回80点、新設の口腔機能指導加算もその指導訓練の評価が10点と低すぎ、引き上げるよう要請。訪問歯科衛生指導料と施設で算定する口腔衛生管理加算との給付調整、回数制限を撤廃し、必要に応じて算定可能にするよう要請した。
奈良協会からの、他院撮影の歯CTの診断料の算定が初診料算定日に限定されており、再診時にも算定可能にとの要望については、加圧根充のNi-Tiロータリーファイル加算の算定にあたり他院に歯CT撮影を依頼する場合もあることから次回改定では改善をと重ねて要望し、厚労省は、「検討したい」と述べた。
厚労省は、「現場の先生方の声をお聞きできることは大変重要な機会なので、今後もどういう改善ができるか教えていただきつつ、しっかり議論させていただきたい」と述べ、近畿ブロックは今後も引き続き改善要請を重ねていく。