兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年11月25日(2087号) ピックアップニュース

[参加記] 保団連公害視察会
PFAS汚染処理は作ったものの責任で 参与 川西 敏雄

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汚染源とされる横田基地内の消火訓練場所を、フェンスごしに視察

 保団連は10月5日~6日、公害視察会を実施。PFAS(有機フッ素化合物)による環境汚染をテーマとし、1日目は東京・立川相互病院で学習会を行い、2日目はPFAS汚染が問題となっている米軍・横田基地周辺を視察した。全国17協会・保団連から44人が、兵庫協会からは森岡芳雄副理事長、川西敏雄参与が参加した。川西参与の参加記を紹介する。

 PFASは人工的につくられた物質で、水や油をはじき、熱に強く安定した性質をもつことから、泡消火剤やフライパン、食品の包装紙や防水スプレー、化粧品など、多様な用途で使われていました。現在は製造や輸入が禁止されていますが、米軍基地や製造・使用工場、産業廃棄物処分場周辺の河川や土壌の汚染が明らかとなっています。
 1日目の学習会は、このPFASによる環境汚染と曝露・リスク評価について、京都大学准教授の原田浩二先生からご講演いただきました。
 住民の高橋美枝子さんから、多摩地域の高濃度のPFAS汚染の原因は米軍・横田基地での泡消火剤を使った消火訓練であること、PFAS以外にも騒音や燃料漏れ等々、さまざまな公害が発生していることが報告されました。
 2日目は横田基地周辺の実地視察が行われました。なお、保団連公害環境部長は兵庫協会の森岡先生です。
 現地案内は「横田基地の撤去を求める西多摩の会」奥富喜一氏、新井美智子氏に務めていただきました。
 米軍基地の消火剤漏れ事故現場・実火災並びに消火訓練場所・13万ng/㎏ものPFASが検出された農地・その他周辺場所を案内いただき視察しました。米軍の暴走の酷さ、他国の土地は汚し放題で良いという姿勢だということを強く感じました。
 健生会の医師で「多摩地域のPFAS汚染から市民を守る連絡会」共同代表・青木克明氏から血液検査実施など活動の報告がありました。特に東京都と国に、住民の血液検査実施・地下水の汚染状況調査・基地への立ち入り・子どもの成長発達への解析・飲料水PFAS目標値の厳格化・PFAS汚染土の汚染者による撤去などの要求活動を行っているということです。
 兵庫県も他人ごとではありません。
 参加をさせていただき貴重な体験、現状認識が大きく二点できました。
①自然界では分解しないPFASは3Mが開発したとされます。フロン、ダイオキシン、マイクロプラスチック......あまたの自然界に存在しない物質を人間は作ってきました。その汚染は、作ったものの責任で何とかすべきです。
②米軍の横暴
 沖縄国際大学教授の前泊博盛先生が米軍基地と政府、住民の関係を分かりやすい例で教えてくださいました。
 生徒(住民):先生(国)、あいつ(基地)がいじめるんです、何とかしてください!
 先生:そうか、分かった。慰謝料をとってやろう。
 生徒:いやいや、いじめ自体をなくしてください!
 先生:あいつの親はやくざでヤバい。だから慰謝料を取ってあげるから(先生の立替で)。
 生徒:......。
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