兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年11月25日(2087号) ピックアップニュース

主張 「保険証を残せ」の運動を息長く続けよう

 いよいよ、政府の決定した12月2日より新規保険証は発行されなくなる。
 政府のミスリードで12月2日をもって現在の保険証が使えなくなると勘違いしている人が多く、ていねいな説明と対応が求められる。
 そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)は「利便性・安全性・経済性」に優れたものでなければならないが、現在のマイナ保険証関連ではその全ての点において失格であることが各地で明らかになってきている。
 ことの発端は政府が〝コロナ禍で明らかになったことはデジタル化の遅れである〟と発信したことに始まる。当時児童にはタブレットを配布し自宅学習、ビジネス等の会議においてもオンラインが多く導入され、関連機器が必要になり、関連産業は空前の特需に沸いた。
 「マイナ保険証」関連事業もこれに便乗したと思われる。その証拠に、保険証廃止は財界が大きな力で後押しをしている。全国各所の病院・診療所・薬局・介護施設における回線と関連機器の整備で莫大な利益が見込まれ、その上に何年かごとに更新という継続性も約束された事業だ。山を削り、橋を架け、道路を走らせ、海を埋め立てるという往年の大型公共事業の現代版ともいえる。
 富士通、日立製作所、NEC、NTTデータが8年間で6億円近くを自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金し、マイナンバー制度の中核システム「情報提供ネットワーク」を内閣府から123億円で受注している。おまけに天下りポストまで用意して。
 地方公共団体情報システム機構(J-LIS)からマイナンバー関連事業で2810億円の事業を受注しているNTTデータ、凸版印刷、日本電気、日立製作所、富士通の献金総額は約7億円となる。献金以外に、社名が出ない20万円以下のパーティー券などでの企業の関与は想像を超えるものであろう。
 金で政治・政策を捻じ曲げる、金権腐敗政治の極みともいえるこの状態は何としても阻止しなければならない。この20年間、大企業は内部留保を積み上げ、株主配当は右肩上がりの一方で賃金は上がらない状態が続く。労働者の賃金と福利厚生費を示す労働分配率は大企業において30年間で最低となった。この間の自民党政治の失敗である。
 「保険証を残せ」の運動はまさにこの悪政にメスを入れる運動でもある。
 粘り強く取り組もう。
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