2024年11月25日(2087号) ピックアップニュース
第104回評議員会・臨時決算総会・第47回共済制度委員会を開催
保険医の要求実現に力尽くそう
特別講演 Google日本法人元代表取締役社長 辻野 晃一郎氏
西山裕康理事長は、「来月2日に保険証の新規発行が停止されるが、国民の大多数が反対する政策は許してはならない。衆議院選挙で当選した議員の55%が反対し、立憲民主党は延期法案を提出した。『保険証を残す』まであと一歩だ」「今の診療報酬では、医療そのものが産業として成り立たない。診療報酬の大幅引き上げが必要。皆様のご理解ご協力をお願いしたい」などとあいさつ。
武村義人副理事長が前半期会務報告として、防衛費2倍化、診療報酬マイナス改定や薬剤の保険外しなど社会保障費抑制を進めた岸田内閣が退陣し、石破新首相の下での総選挙で与党が過半数割れしたこと、医療現場の実態を踏まえないDXが企業への利益供与ありきで推し進められていることなどを報告。後半期活動にあたって、来年7月に予定されている参議院選挙では、大企業の社会的責任で医療・社会保障の拡充を求める世論を高める取り組みを進め、保険証廃止の撤回など、開業保険医の要求実現に力を尽くすとの方針を示した。
討論では16人から、総選挙結果を受け国民生活の立場に立った政策を求める意見や、オンライン資格確認義務化・保険証廃止の運動の強化を求める意見、支部での企画や渉外団体との取り組み紹介、組織強化月間への協力呼びかけなど、活発な発言があった。
共済制度委員会では、会員からの要望に応え、団体介護保険「Sasa*L(ササエル)」を2025年1月1日から発足させることなどが報告された。特別報告として、明治安田総合研究所フェロー・チーフエコノミストの小玉祐一氏が「2025年までの経済・金融情勢見通し」について講演した。
特別講演
本来のDXとかけ離れたマイナ保険証推進
特別講演では、辻野氏が、Googleなどでの経験を踏まえながら、DXとは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」だが、日本のDXはデジタル庁という新しい縦割り組織が上から押し付け、ゼネコン体質であり、本来のDXの方向に沿っていないと指摘。
マイナ保険証問題について、デジタル時代の重要な社会資本は「信用」だが、政府に対する「信用」が低下していると指摘。トラブルが多発・増加しており、利便性にも安全性にも疑問が出ている中、資格確認書を発行する等々の無駄な混乱を生み、当初の計画通り進めるという強引な対応はデジタル化のやりかたではないとした。問題が出たら都度修正や変更を重ねるのがデジタル化のあるべき姿で、今の健康保険証を当面残し、徐々に切り替えていくというソフトランディングが望ましいとした。
現在は、DXを超え、生成AIの進化がすさまじく、これらを活用して、医療の分野も含めて人々の生活をより良い方向に変化させていくことを考えていくべきと訴えた。