2024年12月05日(2088号) ピックアップニュース
第34回反核医師のつどいin沖縄
[参加記] 基地も核もない沖縄、日本、世界に 評議員 松岡 泰夫
今回のつどいで印象的だったのは、元朝日新聞記者で軍事評論家の田岡俊次さんの話と、元琉球新報記者で現沖縄国際大学の前泊博盛教授の講演、そして普天間基地までのバスと徒歩による沖縄米軍基地のフィールドワークでした。
田岡さんの体調が悪くて来沖できず、前もって撮られた映像を観ました。田岡さんの発言では「中国と戦争を望んだ台湾人民は一人もいない」「台湾人の80%が現状維持を望んでいる」を強調されていました。
実際に西側諸国の日本、アメリカ、ドイツ等の大企業のかなりが、中国に社屋や工場等の資産があり、生産力を中国に依存している状況での戦争は「幻想」に過ぎないとのことでした。さらに日本の場合は70万人の在日中国人の処遇問題を考えても、戦争状態は考えられないとのことでした。
前泊先生の話では、一つは琉球弧の軍事化の問題、二つ目は核兵器の持ち込みの問題、さらに一方的にアメリカに有利な日米地位協定の問題でした。
アメリカ軍自体が中国本土に近い、つまり中距離ミサイルの脅威にさらされている沖縄から引き揚げています。グアムサイパンを超えてハワイまで大部隊を移動させている時代に、中距離ミサイル精密攻撃の格好の餌食になるような地上に、ミサイル基地を作っている状況に呆れていました。
核の持ち込みに関しては、元々ベトナム戦争時代は1200発もの核弾頭が沖縄にありました。そして新しく建造中の兵器貯蔵庫を見ても核弾頭を保管できるように作られており、いつでも核兵器の保管が可能です。
地位協定に関しては、現日本政府はアメリカ追従であり、犠牲になる沖縄民衆のことは考えていません。同じ第二次世界大戦の敗戦国であるイタリアやドイツと比べても著しく不公平です。アメリカ軍人が悪事を働いても彼らの逮捕権や裁判権はなく、アメリカが起こした事故に対する捜査もありません。PFASやPFOSの汚染で沖縄は著しく汚染されています。まさに「永久敗戦国」の状態が続いています。
最後に普天間基地へのフィールドワークですが、那覇から宜野湾市の普天間までのバス移動で、アメリカ軍基地の見えない所はほとんどなかったように思えました。
普天間基地に並ぶオスプレイを遠望できる嘉数高地は、かつての日本軍の地下基地があった所です。その中腹にある、前面が砲弾で削れたトーチカの近くの「京都の塔」の碑文が強く印象に残りました。かなり昔、京都府知事だった蜷川虎三さんの頃の「再び戦争の悲しみが繰りかえされることのないよう」と「沖縄と京都とを結ぶ文化と友好の絆がますますかためられるように」との碑文は、亡くなられた方々への哀悼と平和への決意に満ちていました。
見学の途中でも飛来するヘリコプターの爆音に、否が応でも本土との違いを強く感じさせられました。